「昨日の事件で、聞きたい事があるんです・・・」
宮司「あ、ああ・・・」
宮司さんはしどろもどろになりながらも、昨日すけくんが倒れていた場所に案内してもらった。
宮司「ここです、あの少年が倒れていた所・・・」
そこには、壊された檻があった。
・・・やはり壊れている。
「すけくんは、何で壊したか言っていましたか?」
宮司「うーん、なんだか不思議な子で・・・『ぼくが自由になるために壊したんです』とか何とか・・・」
「自由になるために。」
宮司「ええ、ちょっと変わってましたねえ。礼儀正しい子でしたけど・・・」
宮司さんは困ったように苦笑いをした。
宮司「それに、蛇も何だか少年に怯えていて・・・あと、何匹か怪我をしていたんです。君がやったのと聞いたら、『ぼくが自由になるためにやりました』の一点張りでした。蛇が苦手なんですかねぇ、それともな何か悩み事があるんじゃないんですか?私が話せるのはここまでです。すみません・・・」
「いえ、十分(じゅうぶん)です。ありがとうございました」
そのあと神様にお参りをして、家に帰った。
『自由になるためにやりました』、か・・・。
何か蛇に縛られているのだろうか。ちょっと馬鹿らしいが、すけくんだとすると何か深い事情がありそうだ。
すけくんの傷の具合がよくなって学校に来れるようになったら、聞いてみよう。
晩御飯を食べて部屋で本を読んでいると、外から綺麗な歌声が聞こえてきた。
???「じゃーまなしーろへびいなくなれー♪ぼーくのしのゆめじゃーまするなー♪にんげんどーもにおしおきだー♪ぼーくのじんせいこわすならー♪あーいつーのらーいせーもおしおきだー♪」
何と言っているんだ?
考えていると、また声が聞こえた。
???「さかいさーん、さかいさーん。もうすぐ、かんせいするよー」
サカイサン?坂井・・さん?そして、何が完成するのだろう。
「もしかして・・・」
ベランダに行き外を見ると、手を振りながら笑顔で家の前に立っている包帯ぐるぐる巻きのすけくんがいた。
「きゃっ・・・!」
すけ「坂井さん、もうすぐで完成するよー」
「何が!?っていうか、怪我したんじゃないの?!!」
すけ「うん、全身痛いよ。でも、坂井さんに完成するって事だけ伝えにきたんだー」
「だから、何が完成するの!?」
すけ「どりーむおふです」
「え・・・?」
どりーむおふです?なにそれ???
「なにそれ?」
すけ「どりーむ、おふ、です」
すけくんは区切りながらそう言うと、笑った。
今までにないくらいの笑顔で。