夢から醒めたすけは、アヤミと一緒にカズが亡くなったことを伝えられた。
「そんな・・・!!」
すけ「・・・カズ」
2人は言葉を失った。
___だがその沈黙を破ったのは・・・
カズ「ぴよぴよ!ぴよぴよ!2人ともぉ!」
アヤミ、すけ「カズ!??」
2人の後ろには傷一つない、にこにこと笑ったカズが手をパタパタと動かして、ヒヨコの真似をして立っていた。
カズ「あはは、驚い・・」
「キャアアアアアアアア!!!」
すけ「カズのお化けが出た~っ!!!うわあああああ!!」
2人はカズの突然の登場に大騒ぎした。
そこら中の医師や看護師が駆けつけてくる。
医師「どうしましたか!!?」
看護師「大丈夫ですか??!」
患者「何があったんですー?」
そこら辺を歩いていた患者まで集まってきた。
「カ、カ、カズがああああ!!!」
すけ「ぉお化けがでたぁ!!助けてえええええ」
医師、看護師「落ち着いて下さい!!」
カズ「まあまあ2人とも。まずは話を聞いて・・・」カズが話そうとすると、2人は
『ごめんなさいいいいい!!!』
と言って病院内を全速力で走って行った。
カズ「まあまあ。ふ、た、り、と、も。」
2人は全速力で走ったにも関わらず、カズはあっという間に追いついて、2人の肩に手を置いた。
すけ「ヤメテェエェェエエエエ!!!」
すけくんは奇声をあげて騒いだ。
カズが幽霊だったとしても、自分も幽霊のくせに・・・。
「ううう・・・ひっく」
アヤミはよっぽど怖いのか涙を流している。
カズ「だーかーらっ!ちゃんと聞いて!!僕、生き返ったから!」
カズが言うと、2人は目を見開いた。
すけ「まさか・・・あの装置が反応したのか!?」
「装置?」
カズ「アヤミにはまだ説明していなかったな。僕が前、死んだときに役に立つようにと体のコピーを作って、魂をそのコピーの体に入れるという装置を開発していたんだ。」
そんなことが・・・可能なのか・・・・?
頭が?で埋め尽くされている私とは裏腹に、カズは説明を続ける。
カズ「まあ、仕組みとしては・・僕やすけくんの体の原子情報をスキャンして、記憶させるんだ。そして僕やすけくんが死んだとき、僕達の体から発生している電磁波が消えるので死んだと認定される。それと同時に、コピーの体が作られて、魂が入れられる。この魂が入れられる工程の説明としては・・・魂が勝手にコピーの体に入るって感じだね」
「なんで?」
カズ「死んだあとに前と全く同じ体が生まれた場合、魂はその体に入ろうとする。だから、自動的に入るんだよね。で、その装置はアジトにあったんだけど爆破の影響を受けてなかったみたいで・・・僕はその装置の横で目覚めた。いつかこんな時が来るかなと思って体のコピーが作成されるときに、カメラを起動させるようにしてたからビデオがあるよ。見る?」
すけくんは「見る見る!!」と興奮気味で言った。
カズが見せてくれたビデオには・・。
《トウロクシャ1、カズ。シボウヲカクニン。コレカラカラダノコピーヲカイシシマス》
無機質な、機械的な声がしたあと、機械の大きな液晶画面にカズの体が映された。私はビデオからそっと目を逸らした。
《ゲンシジョウホウヲヨミトッテイマス・・・》
ビデオから聞こえる声だけを頼りに、状況を把握する。
《ゲンシジョウホウヲヨミトリマシタ。》
その声が聞こえると、すけくんが叫んだ。
すけ「わああ!カズの体が出てきたぁ!!!」
きっと機械から元と全く同じのカズが出て来たのだろう。
カズ「フッフッフ。」
カズは得意気に笑う。
《コピーガカンリョウシマシタ》
【バタリ。】
カズが倒れる音がした。
きっとカズのコピーが終わったんだろう。
終わったからって、倒れさせないようにしてもいいと思うんだけど・・・
「今、カズが倒れたんだよね?」
目を背けたまま聞く。
カズ「うん。床にマットでも敷いておけばよかった」「・・・」
すると、カズの「・・・ん?・・・。あでっ!」という声が聞こえた。
カズ「上にあった機械に頭をぶつけた声だよ。」
「・・・」
カズはビデオの中で「どこだここ・・?あっ、アジトか!!でも、僕死んだよね?・・・あ!機械で生き返ったのか!!!やったああああ!!」と叫んでいる。
カズ「ふふふ。」
すけ「ふふふ。良かったね、カズ」
2人が一度に笑う。少々気味が悪い。
気味の悪さに顔をしかめていると、カズはぱたんとビデオカメラを閉じた。
カズ「よし、僕も生き返ったことだし、犯人がいる病院に行くか!」
カズの目は燃えている。
「私達、まだ怪我治ってないんで・・・」
私達は苦笑いをしてそう返した。
カズ「あ。」
私達は笑いあった。