朝の5時。アジトの中で、アヤミの泣き声が聞こえる。
「うう・・・ああっ、私のせいで・・・っ」
アヤミは一晩中泣き続けていた。
カズ「・・・」
すけ「アヤミちゃん、そんなこといわないで・・。アヤミちゃんのせいじゃないよ」
「そんな・・わけない」
アヤミは長い髪の毛をぐしゃぐしゃと掻いた。
目の下には酷いクマが出来ている。
カズ「アヤミ・・とりあえず深呼吸をして」
カズはアヤミの背中をさすりながら、深呼吸をさせる。
すけ(まるでアヤミちゃんじゃないみたい・・・。相当なショックを受けたんだろうなあ。僕達が起きたのはさっきだけど・・アヤミちゃんは僕達が寝てからずっと起きてたのか)
テーブルには涙を拭いたティッシュが散乱している。すけは悲しそうな目でアヤミを見つめた。
「・・・っ、はぁ・・・・。」
アヤミの息が整った時、外から女子高校生が話す声と、笑い声が聞こえた。
高校生「あはははは!!まじ、それウケるwwうふふっ、あははは!!」
高校生「笑いすぎだって!もう・・。うふふ」
2人は楽しく会話をしている。
その時、アヤミが大きな反応を示した。
「・・・っ!!!」
アヤミは胸と喉を押さえる。
顔には汗がでている。
カズ「どうしたんだ!?」
アヤミは激しく息をした。
呼吸困難になっているようだ。
カズ「アヤミ!深呼吸!深呼吸!!」
カズが深呼吸を促すがなかなか呼吸困難は収まらない。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
床にぽたりと涙が落ちる。
苦しくて泣いてしまったようだ。
カズ「すけ!酸素とかないの!?」
すけ「酸素・・・今から作るね!!!」
カズ「早く!!」
すけが急いで実験道具を準備する。
すけ「うすい過酸化水素水と二酸化マンガンを投入!!!」
大きなビーカーに2つを入れるとブクブクと泡が出てきた。
すけ「このビーカーの上で深呼吸して!」
すけはアヤミの口元にビーカーをやった。
カズ「ほら、アヤミ。吸って~・・・吐いて」
アヤミは息を落ち着かせると、床に倒れ込んだ。
カズ「大丈夫か・・・?笑い声で、思い出しちゃったんだな」
アヤミの目は開いている。
「・・・・・」
カズ「少し休もう、アヤミ?ベッドへ行こう」
カズは立つように促す。アヤミの手をすけと2人で取り、支えた。
少しずつ歩き、ベッドへ辿り着くと、アヤミはベッドに倒れ込んだが、目を閉じない。
カズ「寝れないのか」
アヤミはこくりと頷く。
すけ「睡眠薬、あるよ」
カズ「持ってきてくれ」
すけが持ってきた睡眠薬をアヤミに飲ませ、様子を見ていると、アヤミは涙を流しながら目を閉じた。
自分の母親の笑い声を思い出しながら。