医者「アヤミさんは重い鬱病と思われます。」
とある精神病院で、アヤミはカズと診断を受けていた。
カズ「そうですか・・・」
医者「はい。一緒に治していきましょう。アヤミさんは、暴れたりはないですが呼吸困難になることがあると言うことで、精神を安定させる抗うつ剤というお薬を投与します。また、眠れていないとのことですので睡眠導入剤という睡眠薬も追加しておきます。」
カズ「あの、前市販の睡眠薬を飲ませたんですが・・・それでは駄目なんでしょうか?」
医者「まあ、市販もいいのですが・・やはり成分などが少し違いますので、病院から処方されたお薬の方が良いですね」
カズ「わかりました。ありがとうございました」
カズはアヤミと病院を出た。
???「ああああああああ!」
看護師「落ち着いて下さい!大丈夫ですよ!!」
どこかで誰かの叫び声が聞こえる。
精神病患者だろうか。
カズはとぼとぼと歩きながら、ため息をついた。
アヤミは結構な鬱の状態だそうだ。
これからどうしていこうか。
カズ「アヤミ、お腹すいてない?もうお昼だよ」
「うーん・・・」
アヤミはぼーっとしている。
「食べる気も湧かない・・・。」
カズ「・・そうか。でも、食べないと・・・クラクラするだろうから、肉まんでも買っていこう」
ヒュウウウと風がふく。この頃はどうも冷え込んできている。
店員「いらっしゃいませー」
コンビニに入ると、暖房の暖かい空気が身を包んだ。
カズ(あったけえ・・・)「肉まん3つお願いしまーす」
店員「はい!肉まん3つですね」
カズはほかほかの肉まんを受け取ると、アジトへバスで帰った。
-アジト-
カズ「ただいまー!」
医学書を読んでいたすけはカズとアヤミが帰ってきた事に気づくと、笑顔で2人を迎えた。
すけ「おかえりっ、アヤミちゃん、カズ!!何か持ってるね?なんか買ってきたの?」
カズ「ああ、アヤミの薬と肉まん買ってきた」
すけ「肉まん!?うわぁ、美味しそう~」
すけは目をキラキラさせながら言う。
カズ「ふふ。こたつで食べよう」
カズは温かいほうじ茶を入れると、こたつに3つ置いた。
アヤミはほうじ茶をすする。
カズ「あったかいでしょ、アヤミ。外で冷えたからね」
「うん」
すけ「よし、じゃあ肉まん食べようよ」
すけはビニール袋から肉まんを取り出してさっそく食べ始めた。
すけ「うんまー!」
カズ「うまいね」
アヤミは2人を眺めている。
カズ「アヤミ、食べないの?一口でいいから食べなよ」
「うん・・」
一口かじると、ゆっくりだがぱくぱくと食べ始めた。
カズ(良かった・・食べてくれた)
アヤミはここ最近全く食事を取っていない。
頬もやつれてきていた。
肉まんを食べ終わると、アヤミはすやすやとこたつで寝始めた。
すけ「アヤミちゃん、寝ちゃったね。」
カズ「うん。まあ、寝てくれたほうが睡眠不足解消になっていいんだけど・・・」
すけとカズはひそひそ声で話す。
すけ「何の薬もらったの?」
カズ「抗うつ剤と、睡眠導入剤だよ」
すけ「ああ、そうなんだ。病院で貰うのは成分配合がいいんだよね」
カズ「そうなのか?まあ、市販よりはいいって言ってたけど・・・」
すけ「うんうん。でもね、抗うつ剤は結構副作用があってね・・・」
カズ「副作用・・・?」
すけ「身体的副作用があるんだよね。だるくなったり・・・」
カズ「・・そうか」
カズは考え込む。
カズ「僕達はなにができるんだろう」
すけ「励ますのも逆効果だしね・・・。あ、そうだ、星を見るとか」
カズ「星・・・確かアヤミは好きだったよな」
すけ「うん。前話してくれたよ。宇宙が大好きだって。何光年も先にある星を見ると、この世界はこんなに広くて美しいんだって感動させてくれると。アンドロメダ銀河を肉眼で見たいって言ってたなあ。あと、プレアデス星団も」
カズ「ああ、アンドロメダ銀河と、プレアデス星団は見たことあるよ。本当に美しいよね」
すけ「うんうん。僕らが属するのは天の川銀河だけど、他の銀河もここから見れるなんて凄いよね。つくづぐ宇宙は壮大だと感じるよ」
カズ「銀河って、天の川銀河とアンドロメダ銀河だけなのか?」
すけはびっくりしたように目を見開いて首を振った。
すけ「ううん、それだけじゃないよ!天の川銀河とアンドロメダ銀河は、銀河がたくさん集まった局部銀河群というのに属していてね。集まった銀河のたった一部なんだ。銀河群はもちろん他にも沢山あるよ。」
カズ「はぁ・・・」
カズは腑抜けな声を出して考えた。
アヤミは・・・壮大な宇宙を想って・・自身を救う何かを求めていたのかもしれない・・・・と。