雪が降る12月の深夜。アヤミはアジトのソファーに座り、真っ暗のテレビを眺めていた。
眺める真っ暗のテレビは、まるで暗黒の宇宙に見える。
これに星があれば、もっときれいだ。
アヤミは目を閉じて果てしなく続く宇宙を想像した。
・・ああ。宇宙って、なんでこんなに美しいんだろう。
小さい頃から、宇宙の果てを考えていた。
宇宙は最初は"無"だったと聞いたので、どんな状態だったのか想像していたっけ。
そしたら、"無"になると私達も、世界も消えて・・・
この広い宇宙も消えて・・・最後は何が残るんだ?と
果てしなく続く思考のループにはまって、全部消えると想像すると変な感覚になってたなあ。
少し成長して、ある宇宙飛行士の影響を受けてから。
私は宇宙にハマって、宇宙が大好きになった。
勉強しだしたのも、その宇宙飛行士のおかげだと思う。
辛いことがあったら、宇宙を考えて、
宇宙から見たら私達は塵以下なんだなぁ。
とか思って、
太陽や金星に行ったらどうせすぐ焼けて死ぬちっぽけな生物なんだ・・・って、
辛いことから逃げようとしてた。
この壮大すぎる世界で、私は何故生きるのか。
そんなの答えはないし教えてくれる神もいないし、今より知能が低かったら考えもしない問題なんだけど。
一生懸命生きてたら、そりゃあ考えるよね。
私はアヤミ。一生懸命生きている人間たちのたった一部。
でも、私も頑張ってきた。
人間関係がうまくいかなくても、自分の気持ちをわかってくれなくても、虐められても、馬鹿にされても。
私達は今日も平凡で、ある人にとっては恐ろしく、ある人にとっては胸が弾む1日を過ごす。
私は・・・
罪を背負った大罪人。生まれてきた瞬間から、罪を背負った大罪人。
生きることで罪を重ねていく。
じゃあ、私なんて、いない方がいいんじゃないか。
宇宙の燃えた塵になればいいんじゃないか。
燃えて、燃え尽きて、消える。
消えたら・・せめてもの生まれてきたことへの謝罪になるかな。
宇宙は本当はクリーム色だそうだ。
人間の感覚器が宇宙の膨大な光を捉えらえられないだけで、昔から親しまれてきた色ではない。
クリーム色だなんて、眩しそうだな・・・。
人間にも、表面上こうだと思っていた事が、実は全く違う事がある。
本当はとても美しかったり、醜かったり。
私は皆から何色に見えているのだろう?
宇宙と同じ、暗黒色かな。
でも、私は実はクリーム色だなんて事はない。
クリーム色のような優しくて、輝いていて、安心感を覚えるような色は持っていない。
表面上も中身も暗黒色なのだ。
暗くて、引きずり込まれるような闇。
それを私は持っている。
人の醜い所を嫌というほど見てきたから。
そのせいで私の心は真っ黒だ。
宇宙色より、深い、深い漆黒の・・・色。