カズ「アヤミ!!アヤミ!!!お願いだから、目を覚ましてくれ!!!」
雨の中で、地面に寝かせられたアヤミがカズとすけに呼びかけられていた。
アヤミは目を覚まさない。
すけ「アヤミちゃん、あんなに楽しい話してくれたじゃん!!なんで!もっとたくさん話したい事があるのに!!!」
2人はぼろぼろと涙を零す。
涙と声は雨にかき消される。雨と共に2人は泣いた。
周りに助けてくれる民家はない。救急車を呼ぶための携帯もない。
3人は絶望の雨にさらされていた。
カズ「まず・・・雨が凌げる所へ・・・行こう」
真っ青になった唇を震わせながら、カズは言う。
すけ「うん・・・」
廃墟となった民家。割れた大きな窓から、カズはアヤミを背負って入った。後ろに続いてすけも入る。
民家の中は物が散らばっていたが、奥の部屋へ進んでいくと畳敷きの寝室を見つけた。
カズ「・・結構生活の跡が残ってるけど、寝室は綺麗だな」
すけ「ここにきれいな布団が残ってるよ。最近まで生活していたのかな」
カズ「そうだな」
カズはアヤミを優しく布団に下ろすと、その瞬間バタンと畳に倒れた。
すけ「カズ!!」
すけはカズに駆け寄る。
カズ「うう・・・」
カズはつらそうに呻いている。
すけ「どうしたの、カズ」
カズ「体が動かない・・・それに頭がくらくらする」
すけ「大丈夫・・・?大分無理してたみたいだし、ゆっくり休みなよ」
カズは顔をしかめている。すけはカズのおでこに触った。
すけ「熱い・・・カズ、熱でてるよ。きっと高熱だ」
カズ「うーん・・・」
すけは落ちていたタオルでアヤミとカズの体、自分の体を拭く。
すけ「ふぅ・・・」
まだ事は終わっていない。2人の身体を温めるために布団をかけ、アヤミの生存率を少しでも上げるためにすけは一生懸命心臓マッサージと、人工呼吸をした。
この日の夜は、とてつもなく長かった。