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野生の森ガール

あや

[あや]

キャラID
: BD162-617
種 族
: 人間
性 別
: 女
職 業
: バトルマスター
レベル
: 109

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あやの冒険日誌

2022-03-23 17:40:12.0 2022-03-23 20:37:49.0テーマ:その他

恋はザクロ味 #1(オリジナルストーリー)

「ねえ、真也。行くよ!」

放課後の教室で寝ていた島崎真也に、友人の竹下湊が話しかけた。
もうすでに教室は二人以外誰もいない。

「うーん…もう少し寝させて」

「も~…教室誰もいないってば」

「だからいいんだろ。誰の迷惑にもならなくて」

「僕の迷惑になるからぁ~」

いつまでも寝ている真也に湊は困惑している。
すると、ガラガラとドアが開き、真也はビクッとして体を起こした。

まだ眠そうな瞳が、入ってきた人物を捉える。

「如月さん…?」 

湊はドアの所に立っている如月美月を見て、目を見開いた。
「ちょっと忘れ物しちゃって…。」

「そうなんだ」

如月美月はちょこちょこと走り、自分の机へ行くと、机の中から小さなノートを取り出した。
すると、彼女はにっこりと笑った。

「よかった~。無くしちゃったかと思ったぁ」
小さな手には、イチゴ柄の小さなノートが握られている。
「なにか大事なメモでも書いてあるの?」
湊が言うと、美月は頬を紅くした。

「ふふ。ううん…大事なことでもないんだけど、大切なノートだから…。」

それを大事そうに胸に抱える美月を見て、真也は湊へ耳打ちした。 

「あんなちっちゃなノート、何が大切なんだ?」

「まあ、女子だけがわかる感覚なんじゃない?」

「ふ~ん…。」

真也は美月をじっと見ていると、彼女は
「じゃあね~」と可愛らしく手を振って教室を出て行った。

「…なあ湊、如月さんって可愛くないか?」

「そうだね。学校の中でも三本の指には入ると思う。真也、気になってるの?」

「いや、まあ別に…。」

「真也も女子からの人気高いし、いけると思うよ」

「別に好きじゃねえって」

こんな会話をしていると、先生が教室へ来た。
「あ。」

「おいおい、お前らいつまで残ってるんだ?早く帰れよ」

「はーい」
二人は教室を出て下駄箱へ向かった。
下駄箱を見てみると、部活生以外みんな帰っているようだった。

少しばかり空も赤くなっている。

「俺、どれだけ寝てたんだ?」

真也が目をこすりながら言うと、湊がやれやれという風に言った。

「もう、赤ちゃんかって思うくらい熟睡してたよ。六時間目の終わり頃からぐっすりとね」

真也はあくびをして答えた。
「昨日夜遅くまで課題やってたんだよ」

「えっ、なになに?真也が夜遅くまで課題?」

「数学の爺から今日までにやらないと北野先生に生活指導してもらうぞって言われたんだよ」

「はーっ。北野先生かぁ。あの先生に言われるくらいならやった方が良いね」

「だろ。冗談かもしれないけど怖いからな。北野野郎、俺の漫画10巻まで没収したからな。許さねえ」

北野先生というのは、生活指導の教師で、持ち前の太眉と強面でこの学校では一番生徒から恐れられている。

以前、学校へ持ってきていた真也のお気に入りの漫画を全巻、没収した人物である。 

「漫画を学校に持ってくる真也も悪いんだけどね」

「漫画を学校に持って来ちゃいけない理由がわかんねえ。小説と何が違うんだよ。中身が馬鹿の小説と、中身がためになる漫画だったらどっちが良いんだよって話」

「言えてるね。確か、真也の読んでた漫画って歴史漫画だったよね?」

「そうだよ。歴史だよ。それなのに何がいけないんだ。ぶん殴ってやる」

「怖い顔になってるよ」

だんだんと険しさを増していく真也の顔を、湊がくすりと笑う。

下駄箱を出て校門へ向かうと、そこに一人の女子生徒がいた。
「誰だ?こんな時間まで…」 

真也たちが目を凝らして見ると、さっき忘れ物を教室に取りに来た如月美月だった。 

長い髪をはためかせて立っている。
美月は真也を見るなり、目を見開いた。

「あっ、島崎くん!」

笑顔で真也の名前を呼ぶ彼女に、真也は戸惑う。

「如月さん?どうしたのこんな時間まで…」

「いやー?何でもないよ。友達待ってるの」

今日は確か遅くまで部活がある日だ。まさか終わるまで友達を待つつもりなのか。 

「今日は夜遅くまで部活あるけど、大丈夫?」

「うん!大丈夫だよ。私待つの嫌いじゃないから!」
なぜそこまで待つのだろう、女子はそんなものなのか、と思った時、午後六時を回っていることに気づいた。

「うわやっべ!時間やばいよ湊!」 

「わあ!早く帰んないと!じゃあ、またね如月さん!」

「ばいば~い」
焦る二人に、美月はひらひらと手を振った。

ある程度走った後後ろを振り返ると、遠くの校門には美月はいなかった。

えっ?と真也は思ったが、まあいいや、それより早く帰らないと、という思いでかき消された。


それでも真也の心には、微かな違和感が残っていた。
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