PM10:00
辺りは静まり、松明は淡く燃え滾っている。
ガートランドの酒場では対比するかのように、冒険者や兵士などで賑やかだった。
「お~い!エリテちゃんよ!こっちにエール二つ!」
「あ、は~い!エール二丁~!!」
にこやかに対応する金髪の少女エリテ。
彼女の頬には魔瘴の痣が濃く刻まれている。
そんな彼女は、魔法戦士の夢を叶える為酒場を切盛りし、金銭を稼いでいた。
然し、そんな彼女の夢を鬼畜にもぶった切る"魔瘴のヒズミ"。
以前、ウェナ諸島のお店で発生した魔瘴のヒズミや自分の生い立ちが少なからず繋がりがあると悟った彼女。
偽りのレンダーシアから異例して五大陸に辿り着いてしまった彼女を皮切りに、魔瘴のヒズミが多発したと考えられると、元の世界に戻らなければいけないのは、彼女でも考え付くことだった。
だが、今まで出会ってきた友達や師匠と離れるのは心苦しいもの。
葛藤を抱きながらも、接客中につい溜息を吐いてしまう。
そんな彼女を思ってか、手前で鎮座するオーガの兵士が声をかける。
「エリテちゃん、大丈夫かい?最近溜息することが多いみたいだけれど」
「ギズマンさん…、その私どうしたらいいのかわかんなくって…」
ガートランド兵士のギズマンさん。彼は酒場によく来てくれる常連客。
接し方も優しくて頼りがいのある人…!
そんな彼に相談話に乗ってくれた。
今抱えている葛藤を全て赤裸々に…。
「そっか。魔法戦士になりたい夢と帰りたくないけど帰らないといけないのと…か。それなら宣誓の滝なんてどうかな?」
彼が言った滝を疑問のまま返答すれば、説明を続ける様に口を切る。
「そう。あそこは名前の通り何かを誓えば願いが叶う滝さ。君がそこで魔法戦士になるっていう誓いをして魔法戦士になれば君のお友達とずっといられる。難しい話だけれど、それで願いが叶ったって人も多く聞く」
「そーなんだ…。そこに行けば皆と一緒に居られるんだね!!」
「そうだ。再来週の土曜なんかどうだい?その日は快晴で夜空も綺麗なはずだよ」
「え!!ほんとぉ!?決めた!私その日に宣誓の滝に行って誓う!そんでもって、皆と一緒に居る!!」
拳を掲げる様に意気揚々と宣言すれば、周囲から拍手を貰った。
きっとそこで誓いの祈りを捧げればきっと、魔瘴のヒズミもなんとかなるよね。
――きっと。