【第2話 あれは一体何だべ?】
「アッシュ~~~~~~~~!」
シャレードを乗せた脱出カプセルは、母船の爆発の衝撃波で
荒波の上を航行する小舟のように翻弄されていた。
「うわっ うわっ し・・姿勢制御スラスター点火! 衝撃波に
船首を向けて~~」
警報音が鳴り響く脱出カプセルの中でシャレードは必死に
カプセルを安定させようとしていた。
「ちゃ・・着陸・・着陸用緩衝ダンパー・・て・・展開・・・」
かろうじて、着陸の際、衝撃を吸収するダンパーの展開に成功した
脱出カプセルは、惑星の山間部へ落下、緩衝ダンパーのおかげで
追突時の衝撃のほとんどを吸収し、そのまま斜面を転がっていく。
「ああっ ああ~~ と、止まらないじゃない わわわわ 目が回る~」
山の斜面を転がり落ちる脱出カプセルは、やがて、開かれた場所に
出たかと思うと軽いジャンプのすえ、湖に突っ込んで止まった。
本体の停止を確認した脱出カプセルは、緩衝ダンパーを格納、
脱出ハッチを小型爆薬ではじき飛ばす。
「ふぅ・・なんとか無事に着陸出来たみたいね。さてと・・・
救難信号を発信して、あとは、救助隊が来るまでサバイバルかな
装備はと・・アナライザー1、ハンドガン1、予備弾倉5、
グレネード4それと携行食糧が4日分に救急セットか・・
水と食料は現地調達になっちゃうかなぁ 大気成分はと・・・・」
アナライザーを操作し、大気成分と、湖の水の成分をチェックし、
有害物質が無いことを確認するとシャレードは、岸に向かって
泳ぎだした。
「今頃は、報告書を提出して、自宅に戻って「暴れん坊将軍 桃太郎侍編」
をのんびり見てたはずなのになぁ 何の因果で泳いでるんだろアタシ」
湖の岸にたどり着いたシャレードは、手近にあった丸太に腰掛けて
パイロットスーツのドライボタンを押した。[ドライモード ON]
スーツに仕込まれている乾燥システムが内部からスーツを乾かしていく
濡れた髪の毛を手でバサバサやっていると、アナライザーがピッピッと
反応し始めた。
「ん? 動態反応?」
アナライザーに目を落としたその時、背後から2つの影が近寄って来た。
「※~!!%##※|?」
「&&$※!@<<※※%!!」
堅気のまたぎのような格好をした2人の男が何か喋りながら近づいてくる。
「原住民か? 自動翻訳応答装置ON」
「あんた~ 大丈夫かぁ? なんかすんげ~大きな音が聞こえたんで
来てみたんだ~」
「町からきたんだかぁ? 変な格好しとるのぉ 町じゃそんなんが
流行っとんのかぁ?」
「あ~いえ、船が故障しちゃって 大丈夫ですよぉ それより
その町って言うのは、どっちの方にあるんですかぁ?」
「あ~ん? ふねってのは、あれのことかいな? もう沈みそうじゃの」
「え? あ~~~密閉しとくの忘れた><」
湖に視線を移したときは、もう、脱出カプセルはそのノーズの一部を残し
湖の底へ沈もうとしていた
「え~い 悔いていてもはじまらないわ その町ってどっちの方へ
行けばいいんでしょう?」
今は、この惑星の情報を少しでも集めないと そう思っているとき、
2人の原住民が怯えるように、山の稜線の方を指さしながら叫んだ。
「うぉぉ あれは、なんだべ?」
「うっひゃあ、あんなの今まで見たことないべ 山の神様が怒っとるんじゃあ?」
「え?」
視線を山の上の方へ、さらに、上空の空を見上げると空間が陽炎のように揺らぎ
始めていた。はるか上空では、オーロラがゆらぎ、周りの木々は、大きな波に
翻弄されるようにざわつき始める
「まさか・・・時空変異がここにも?」
「うわわわ 早く家さ帰っておっかぁ連れてにげるだよ」
「わわっっわ~~~~」
2人の原住民は、森の中へと駈けだしていく。
「あ、ちょっと待って! 町ってどっちにいけば」
次の瞬間、シャレードは、空間の揺らぎの中に巻き込まれ、そのまま
気を失ってしまった・・・
【さてさて、いよいよ物語は急展開を迎えます。第3話を待ってちょ!】