【前回までの話】
惑星連合の命を受け、異常現象の調査をしていたシャレードは
その異常振動の影響をもろに受け、宇宙船は爆発、かろうじて
降り立った惑星は、異種族が混在する冒険と魔法の世界だった。
しかも、一度、失われた命をその世界の神々に救われ、オーガと
言う姿で復活させられていたのだった。
元の世界へ、元の姿に戻る方法を探す旅が始まった。
クリフゲーンの紹介状を手にグレン城を訪れたシャレードは、
バクド王に過去に戻って、失われた空軍を復活させる手助けを
してくれと頼まれ、「七色のしずく」という怪しい小瓶を預かった
のだった。
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半信半疑のまま、シャレードは、地下鉄の駅のような
グレン駅に立っていた。
「なんか、バタバタしてる国だわね。 あのままマイユさんの
家で養生してた方が良かったかなぁ・・ ああ、でも、食事が
口に合わなかったし、なにより、元の姿になって元の世界に
戻る方法を見つけないとだしねぇ・・・ふう・・・」
そんな事を考えていると構内に電車が入線してきた。
車掌に見つからないよう、運転席に行って運転手に
過去のグレンに行きたいんですけどと、言うと・・・・
「はぁ? あんた何言ってんの? 行けるわけないでしょう?
それに、あんた、オーガだよねぇ? 俺が聞いた話じゃ
時間を旅できるのは、一部の特別な人間だって話だぜ?
あんたには、無理無理。 さ、さっさと降りてくれ、もう発車時間
なんだ。」
「いやいや、ここの王様が過去に行ってくれと言うんだもの、
そこをなんとか。 ねっ!」
シャレードは、最高の笑顔で運転手に頼み込んだのだが・・・
「その程度の笑顔で俺を動かせると思ったら大間違えだぜ姉ちゃん。
もっとこうよぉ 色気のある、なんてーの、思わず抱きつきたくなる
そんなんじゃないとなぁ あっはっはっは・・・っは・・おい・・・・なにを・・」
「あ、っそ・・・こいつを食らえ~~~」
シャレードはバグド王から預かった「七色のしずく」を運転手の口に
無理矢理流し込んだ。
「おおお・・・おぅぅ・・・ごっふ・・んがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
いっくぜ~~~~~~~~」
しずくを飲まされた運転手は、顔を真っ赤に染めると勢いよく
制御レバーをレッドゾーンにぶち込んだ!!
「うわぁ ああああっ ななななな なに?」
列車が光り出すと猛スピードで走り出す
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがて列車は、みすぼらしい駅構内に滑り込んだ。
運転手を見ると、目を回して気絶している。 まあ、ほっといても
そのうち気がついて帰るでしょって、事で、シャレードは、無事に
過去のグレンに到着したのだった。
「さてと・・情報収集からね」
シャレードは、グレン城に赴いてみたが・・・・城内は殺伐とし、殺気だって
いた・・・・
「何? この雰囲気? こんなんじゃ飛行艇について聞くような
雰囲気じゃ無いわよねぇ」
そんなシャレードは、あっという間に怪しい奴として牢に入れられてしまった。
その時に一緒になった、変なキセルを吹くじいさんから、ここは、自分がいた
グレンから500年前の世界だと教えられた。
「じゃじゃあ、この世界に飛行艇とか空軍なんてものは、存在しないの? おじいさん」
「空軍ちゅーのが、どんなもんか知らんが、空を飛ぶモノならあるぞ、ほれ、これじゃ」
じいさんが見せてくれた絵には・・・・・
「これって・・・公園の池に浮かんでる白鳥ボート・・・みたいな・・・・
あ・・・あのこれって・・・どうやって空を飛ぶの? 足こぎとか?」
「何いっとるんじゃ! これはな、破邪舟師が、その思念で飛ばすんじゃ!」
・・・・そっか・・・この程度の舟なのね・・・光子エンジンとかワープ機関とか
ましてや、ビーム兵器とか波動砲なんて武器は、無さそうね・・・
だめだぁぁぁ この時代のこの世界に、空軍っぽいのを期待できないわぁぁぁ
・・・・・もどろ
こうして、失意の中、シャレードは、元のグレン城下町へと帰るのだった。
王さんになんて言うかなぁ・・・・
つづく