無事、グレン駅に到着したシャレードは、重い足取りでグレン城に
向かうのであった。
はぁ・・・今更だけど、この世界、機械文明なんてのとかけ離れた
世界なのねぇ・・・
元の世界に戻るのは、かなり難しいなぁという思いを胸に、
重い足取りで、バグド王の前に行き、詳細を報告すると王は
側近の大臣となにやら話し始めた。
「ふん 所詮は名も無き冒険者か・・・役に立たんな」
「王、やっぱりこういったデリケートな仕事は王宮精鋭部隊に
やらせた方がよろしかったですかなぁ」
「そうよなぁ こんなちんちくりんに任せた儂のミスじゃ」
「して、この者、いかがいたしましょう?」
「うん? 城からたたき出してしまえ。 もう用は無い!」
「ははっ!」
相変わらず、本人を目の前にして聞けるくらいの声で話す2人を
シャレードは、呆れた目で見つめるのだった。
そして
「あ~これこれ、シャレードじゃったな もう用は無い、さっさと
この場を立ち去るが良いぞ。 ご苦労じゃったな。 ほれ、駄賃じゃ」
そう言って、10Gを握らせると
「これで、美味いもんでも食って、ねぐらに帰ると良い」
大臣は、そう言って、背中を向けるのだった。
「ふっ・・ふざけんなぁぁぁぁぁぁ~~~~」という、声を殺し、
シャレードは、泣く泣く10Gを握って城を去るのだった。
こんなんじゃ、パンも買えないじゃないかぁぁぁ 子供のおつかいか!!
しばらくして、岩に向かってブツブツ囁くシャレードの姿を冒険者達が
見かけるのだった。
「ねぇねぇ聞いてよ 酷いんだよ 王さんと大臣・・・メチャクチャな
用を押しつけてさぁ 成果なかったら用無しだって 10Gって何?
そう思うよねぇ ブツブツ・・・ブツブツ・・・」
「ねぇねぇあれなに?」
「しーっ 見ちゃ駄目だ ありゃあ、廃人冒険者だ」
「なにそれ?」
「腕も無く、金も無く、宿も無く、地位も名誉もな~んも無いただの
落ちこぼれさぁ」
「マジで! わたし、あんな風にはなりたくないわぁぁ」
「大丈夫! おまえには、俺様がついてるじゃねぇーか! ハニー」
「いやん、ダーリンったら」
「あはははははははははは」
「うふふふふふふふふふ」
プルプルプル・・・・・・・
「ったく!! どいつもこいつもぉぉ!! あたしだって あたしだって・・
惑星連合では、エリートと言われた調査員なんだぞぉ!! くっ・・・
アッシュ~~~ 今ならあんたの嫌みったらしい声も懐かしいわぁ
こんな、アホみたいな未開の世界で、どう生きていけば良いのよぉ~~」
荒野にシャレードの悲痛な声が響くのだった・・・・
つづく