▼ 2次方程式の解の公式 ▼
中学校で2次方程式の解の公式を学んだが,
ここでは解の公式の導き方を紹介する。
(※ b≠0のとき,a÷b=c⇒a=bcが成り立つ。
a≠0のとき,0÷a=xとすると,
0=ax a≠0であるから,x=0
よって,0÷a=0となる。)
ax^2+bx+c=0(a≠0)の両辺をaで割ると,
x^2+(b/a)x+(c/a)=0/a=0
(c/a)を移項すると,
x^2+(b/a)x= -(c/a)
両辺に{b/(2a)}^2を加えると,
x^2+(b/a)x+{ b/(2a)]^2= -(c/a)+{ b/(2a)}^2
左辺を平方完成させ,右辺を計算すると,
[x+{b/(2a)}]^2=(b^2-4ac)/(4a^2)
x+{b/(2a)} =±√{(b^2-4ac)/(4a^2)}=±[{√(b^2-4ac)}/{√(4a^2)}]
=±[{√(b^2-4ac)}/(2|a|)]
∴ x+{ b/(2a)}=±[{√(b^2-4ac)}/(2a)]
x= - {b/(2a)}±[{√(b^2-4ac)}/(2a)]={-b±√(b^2-4ac)}/(2a)
よって,次のことがいえる。
【 ax^2+bx+c=0(a≠0)のとき,
x = {-b±√(b^2-4ac)}/(2a) 】
▼ ax^2+2b'x+c=0(a≠0 , b'≠0)の解の公式 ▼
この公式は覚えなくてもよいが,
覚えておくことによって計算が楽になる。
(※ b'はbを微分した値ではない。)
2次方程式の解の公式より,
x= [-2b'±√{(4b')^2-4ac}]/(2a)
= [-2b'±√{4(b'^2-ac)}]/(2a)
= {-2b'±2√(b'^2-ac)}/(2a)
= [2{-b'±√(b'^2-ac)}]/(2a)
= {-b'±√(b'^2-ac)}/a
よって,次のことがいえる。
【 ax^2+2b'x+c=0(a≠0 , b'≠0)のとき,
x= { -b'±√(b'^2-ac) }/a 】
▼ 2次方程式の解の種類 ▼
ax^2+bx+c=0(a≠0)において,D=b^2-4acとすると,
【 D>0 ⇒ 異なる2つの実数解をもつ。
D=0 ⇒ 重解(1つの実数解)をもつ。
D<0 ⇒ 実数解をもたない。 】
ax^2+2b'x+c=0(a≠0)においては,D/4=(b')^2-acと表せる。
補足: ax^2+bx+c=0(a≠0)のとき,D=b^2-4acを判別式という。
▼ 不等式について ▼
不等号を用いた式を不等式という。
不等式には以下の3つの法則がある。
【 両辺に値を加えても引いても不等号の向きは変わらない。 】
例) 3<4 → 3+1<4+1 , 3-1<4-1
x≧3 → x+2≧5 , x-2≧1
【 両辺に正の値をかけても割っても不等号の向きは変わらない。 】
例) 6<9 → 6・2<9・2 , 6÷3<9÷3
2x≧ -10 → 4x≧ -20 , x≧ -5
【 両辺に負の値をかけたり割ったりすると不等号の向きが変わる。 】
証明) A≦Bとする。(A<B , A>B , A≧Bも同様にして
証明することが可能)A≦Bの両辺からBを引いて,A-B≦0
さらにその両辺からAを引いて,-B≦ -A
a≦bとb≧aは同じ意味であるから,
-B≦ -Aは-A≧ -Bと書き換えられる。
よって,A≦Bの両辺に-1をかけると
-A≧ -Bとなり,不等号の向きが変わる。ちなみに,
両辺に-1以外の負の数をかけても不等号の向きが変わる。
a>0とする。「-aをかける」は「-1をかけた後にaをかける」
と言い換えられる。したがって,両辺に-1以外の
負の値をかけても不等号の向きが変わる。
負の値で割る場合についても説明しよう。
「-aで割る」は「-1で割った後にaで割る」と言い換えられる。
x÷(-1)=x÷{1/(-1)}=x・{(-1)/1}=x・(-1)より,
-1で割ることと,-1をかけることは同じ意味である。
したがって,「-1で割った後にaで割る」は
「-1をかけた後にaで割る」と言い換えられる。
よって,「-aで割る」は「-1をかけた後にaで割る」と
言い換えられるため,不等式の両辺を
負の値で割ると不等号の向きが変わる。
パート14はこれで終了とします。
パート15では2次不等式を扱います。