▼ 整式の除法 ▼
単項式と多項式を合わせて整式という。
整式の除法は,算数で習った割り算の筆算と同様にして
計算することができる。しかし,ここでは
筆算を表記することができないので
筆算を用いずに説明することにする。
A=BQ+Rのとき,Qを,「AをBで割った商」といい,
Rを「AをBで割った余り」という。
整式の除法において,次のことが成り立つ。
【 A÷Bの商がQ , 余りがRであるとき,A=BQ+Rが成り立つ。
また,Rは0か,Bより次数の低い整式である。 】
整式の除法を計算する方法:
① 割る式,割られる式は降べきの順に直してから割り算を行う。
② 余りが0になるか,割られる式が割る式の次数より
低くなったら計算終了である。
※ A÷BのAを「割られる式」,Bを「割る式」という。
例題2: (-12x+9+2x^3)÷(2+x^2-3x)の商と余りを求めよ。
(-12x+9+2x^3)÷(2+x^2-3x)
=(2x^3-12x+9)÷(x^2-3x+2)
(2x^3-12x+9)÷(x^2-3x+2)の商をQ1 , 余りをR1とすると,
2x^3-12x+9=Q1(x^2-3x+2)+R1・・・①
2x^3=Q1(x^2) Q1=2x
すなわち,2x^3-12x+9=2x(x^2-3x+2)+(6x^2-16x+9)・・・②
(6x^2-16x+9)÷(x^2-3x+2)の商をQ2 , 余りをR2とすると,
6x^2-16x+9=Q2(x^2-3x+2)+R2
6x^2=Q2(x^2) Q2=6
すなわち,6x^2-16x+9=6(x^2-3x+2)+(2x-3)・・・③
②,③より,2x^3-12x+9=2x(x^2-3x+2)+6(x^2-3x+2)+(2x-3)
=(2x+6)(x^2-3x+2)+(2x-3)・・・④
①,④より,求める商は2x+6 , 余りは2x-3となる。
※ここでは筆算を表記することができないため,
筆算の理屈を利用して解いた。
実際に解く際は,筆算を行うことをすすめる。
▼ 分数式 ▼
分母に文字を含む式を分数式という。
A≠0 , B≠0 , C≠0のとき,
A/B=(A/B)・(C/C)=(AC)/(BC)
よって,次のことがいえる。
【 A≠0 , B≠0 , C≠0のとき,(AC)/(BC)=A/C 】
(AC)/(BC)からA/Bへ導くことを「約分する」といい,
これ以上約分することのできない分数式を「既約分数式」という。
分数式の分母や分子を共通因数でくくったり,
因数分解をすることによって
分数式を約分することができる。
また,分数式の四則計算は分数の四則計算と
同様にして計算することができる。
分数式の加法と減法では,分母を展開する必要はない。
算数の復習(小学4年生レベル):
「A/B」とは,「A÷B」のことである。
例えば,「8/3」は「8÷3」を意味する。
今さらこのような説明をした理由は
練習問題を解くと分かるだろう。
例題3: (-2x+2)/(3x-3)を約分せよ。
(-2x+2)/(3x-3)={-2(x-1)}/{3(x-1)}= -(2/3)
※ 分母が0になってはいけないが,それは既知として良い。
したがって,「x≠1のとき」のような注釈は不要である。
練習問題2: x^3+x^2-x+2を整式Bで割ると,商がx-1 ,
余りが2x+1となるとき,整式Bを求めよ。
練習問題3: 次の分数式を簡単にせよ。
(1) (3x+6)/(-x-2)
(2) (x^2+5x+6)/(x^2-2x-8)
(3) {(x^2-2)/(x+2)} - {2/(x+2)}
(4) {(2x-3)/(x^2-3x+2)} - {(3x-2)/(x^2-4)}
(5) 1+(1/[1+{1/(1+[1/{1+(1/x)}])}])
練習問題2および練習問題3の解答はパート4に載せます。