話は、数日前の、
コロシアムのトーナメント戦があった頃までさかのぼる・・・。
熱きトーナメント戦が終了してなお、
戦い足りない猛者達が、二次会とばかりに闘技に興じている中、
おれは静かに、会場をあとにしていた。
ちょっとばかり、ぼけっと考えたいことがあったからである。
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☆ ☆ ☆
とりあえずは、
チームクエの【マシン討伐】をだらだらこなしながら、
七不思議を求めて、ラギ雪原に張り込んでみるか、と、
ドルボードを走らせる。
狙うは、キラーマシン。
クエついでに、【プラチナ鉱石】をウへっ☆と盗みまくる算段だ。
適当に転戦しつつ
七不思議の目撃現場へと向かっているとー・・・
一人のウェディの青年が、
シルバーデビルに襲われているのを目撃した。
仲間を連れていないようだが、
かなりのベテラン冒険者と見受けられたので、
おれは特に気にとめていなかったのだがー・・・
キラーマシンから鉱石をかすめ取りつつ、
横目で青年を見ていると、様子がおかしかった。
青年は、1回も反撃をしていない。
そして、逃げようともしていなかった。
これはー・・・
(;゜ロ)< 寝落ちとる・・・!
どうにかして助けることができないか、と思案を巡らせたが、
おれの目の前の相手を倒す頃には、
青年は事切れてしまっていた・・・。
力無く倒れ込んだ青年。
これこそは典型的な、
【気が付いたら教会で、お金なくなってたよパターン】であろう。
こんな深夜に、わざわざ雪原くんだりまで来て、
不覚にも寝てしまい、しかも所持金を奪われるとは・・・;
あまりにも哀れ・・・
そういえば、
数ヶ月前、おれは、
同じような状況に遭遇して、助けられなかったことがあったな;
今回もザオを使えない職業で来てしまったことを悔やみ、
少しの間、唇をかみしめていたおれだったが、
でもこれ、
相手が寝ているなら【せかいじゅのは】で蘇生しても気が付かないから、どん引きとかされずにすむんじゃね(゜~゜;)?
ということに気づく。
よかった、これで解決ですね!!
生き返ってなお、モノ言わぬ青年の口に、
目一杯上やくそうを詰め込んで、
おれは意気揚々とキラーマシン狩りに戻った、が・・・
数分後戻ってきたら、
(;゜ロ)< そこには再び、返事のないただのしかばねが・・・
蘇生後、その場を動かなくても、魔物って襲ってくるんだっけ;?
今回ばかりは、助けることはできんなぁ、と
諦めムードになっていると、
ドルボードに乗って、一人の、エルフの女性がやってきた。
その人も、ザオは使えなかったらしく、
青年の前で祈る事しかできないようだ。
その後、どうすることもできず、
キラーマシンと2回ほど戦ったのだが、
そのエルフの女性は、
1回の戦闘ごとに、青年の元に戻り、祈りを捧げているようだった。
あの日砂漠で見た、プクリポの少女の悲痛な顔が
脳裏に鮮明によみがえる・・・。
おれは、思い切って話しかけてみた。
(中略)
ザラ 『ザオ職になって、戻ってきますかね・・・』
女性 『ほんとですか!!』
ザラ 『それまで見ててもらえますか?』
女性 『はい!』
戻ってきて、ぽつぽつ話す。
ウェディの青年は、この女性の旅の相棒だったようだ。
ザラ 『今、雪女出たら泣くだろうなぁ・・・;w』
女性 『ですねww』
とりあえずおれは、周りの魔物たちを掃討することにした。
それが元々の目的であるし、
結果、二人を守ることにもつながるだろう。
そして、夜明けが近くなった頃、
青年は、静かに強制送還(時限ログアウト)してゆく・・・。
挨拶できなかったのは残念だが、
彼の財産を守り抜くことには成功しただろうw
ザラ 『いくら持ってたのかしら・・・w』
女性 『結構持ち歩いてるっぽいですw』
ザラ 『なら良かったw(?)』
礼の言葉と朝日を背に、おれは挨拶もそこそこに、
意気揚々とその場を後にした。
(;゜ロ)< おおお、いつになく男前やで、おれ!!
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そして、今日のおれ・・・(゜_゜)
~~~FIN~~~
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