ザラターンの冒険日誌

かくして、初日は終わりを迎えた。


常闇の竜とあらためて対峙した時、我が内の
『本職パラディン』としての迷いは
すでに晴れたと言って良い。


だが、
『冒険者としての欲望』は
それとは別物。


ここからはややこしい理由は無しだ。


全力でぶつかり、目一杯楽しみ、
そしておれ達は
新たな常闇の竜に、勝つ。



☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆


おれはこの、

『　強敵に敗れ、
　　リベンジを果たすために
　　力を尽くす期間　』

というのが好きだ。


最初にそう感じたのは、
バズズ戦の時だったか。


実力を磨き。
金を貯めて装備を揃えたり、
先駆者から情報を仕入れたりして、
来たるべき再戦を想う。


初めて耐性を意識し…
全財産つぎ込んで買った
『水のはごろもセット』。

真災厄の時は金欠で、
☆１つと２つ混合の継ぎ接ぎの
『聖騎士の鎧セット』を
どうにか揃えて戦い抜いたっけ…


(；゜ロ)＜　というか
　　　　　常に金欠だったな、
　　　　　おれ…


そういや

『　装備を揃えたら
　　金無くなった！
　　しばらく
　　ふりかけご飯生活や　』

とかよく言ってた気がする。



いつからだろう。

『次の戦い』を。

戦後の『余力』を。

気にするようになったのは。



（　今一度、初心に、か…　）



おれは　おまとめ袋をのぞき込み、
眠っていた練金石の数を確認した。


…うん。


今回の戦いの為に、
全部使ってしまおうか。


重さを増強すれば、
悪霊の仮面を死神のピアスに
変える事くらいはできるだろう。

それによる戦力の増強は
微々たるもの。
そうしないと勝てない相手、
と言うわけでも、多分無い。

それでもなんとなく、
そうしたい気分になったのだ。



☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆


最近さぼり気味だった
綿花おじさん（キラマラ）も、
にわかに復活だ。


稼いだお金で、世界樹のしずくを
これでもかと買い込む。

パラは役割上、
コレを使う機会はほぼ無いのだが…

まあ戦いの後にでも配れば、
皆の負担を
多少は減らせるだろう。



なんだかんだ、目標ができれば、
冒険のモチベーションは上がる。

おれはそこまでハイエンドと呼ばれる
戦闘が好きなわけではないと思うが…

それでも。

鍛えたチカラ、集めた装備…それらの
『　行き着く先　』という物は　きっと
冒険の旅には必要な物なのだろうな、
と、漠然と思った。


少なくとも、今のおれは
新たな闘志に燃え、
やる気に満ちている。


とはいえ…


戦いは、４人いないとできない。


個人のやる気がどう燃え上がろうとも、
メンバーの足並みが揃わなければ、
挑戦はままならなかった。


まあ　この問題は
『　この世界での冒険　』の、
醍醐味の１つとも言える。
今更とやかく言っても仕方ないのだが…


それでも、皆は戦う度に
上達し、少しずつ
善戦できるようになってきた。

場数さえ踏めば、
いずれ勝利する事も
きっと夢ではないだろう。


しかし、挑戦は良くて週に１～２飯。


正直、やる気に燃える
今の　おれには少し
もどかしいペースではあった。



…誰も集まらずに暇な日は、
サポを引き連れてⅠ～Ⅳに
突撃を仕掛けたりした。

そんな日が続き、
元々半端に貯まっていた
常闇の砂が、また３０に達する。


(゜ロ)＜　今になって、
　　　　　あたらし常闇武器を
　　　　手にする日が来るとはなあ。



さて、何を打って貰うか…

造形は、鎌が格好いいな。
でも、騎士での使用が解禁された
片手剣も捨てがたい…


(゜ロ)＜　槍もだったけど、
　　　　『竜鱗の剣』って響き
　　　　　憧れる。


しばらく悩んだが…
結局おれは、苦笑いで　
かぶりを振った。



☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆



戦槌、だ。


戦槌は以前、
ネレウスハンマーを手に入れ
満足してはいたが…


…新たな武器はやはり、
常闇の竜を鎮めるために使いたい。


まあ見た目が変わるだけで
何が有利になるってわけではないが…
気持ちの問題という奴だ。

おれは今、無性に
ふりかけご飯が食べたい気分なのだ。



かくして、準備は整った。
後はとにかく、場数を踏むだけ。


強くなったレグナードだが、
前より易しくなった点が、
実は１つある。

それは…


【　強さが日によって変化しない　】


という事。


つまり、仲間の足並みが揃った日に
確実にＶに挑める、と言う事だ。


なれば焦っても仕方なし。


皆に無理なく歩を進め、
そして　いずれは勝つ。
それを目標に、しばらくは頑張るとしよう。



～～つづく～～