ザラターンの冒険日誌

「　おい、ジジイ！　」


☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆


『　なんじゃい、孫ォ…！　


『　言っとくけどワシ、
　　お前のジジイじゃないから。


「　えっ


『　滅びの手として甦った方の
　　ジジイだから。


「　なっ…！
　　滅びの手として甦った方の
　　ジジイ！？
　　なんだその芸術的な響きは！


『　グハハハハッ！


「　手ぇ６本あるけど、
　　ど、どれが滅びの手なのだ！？


『　良かろう！特別に教えてやる！
　　向かって左上段から…
　　創造の右手！　情熱の左手！
　　趣向の右手！　技巧…の…左手！
　　そして…えーと…
　　…お箸を持つ右手と…
　　お茶碗を持つ左手…！だ！　』


「　途中から考えるの
　　面倒になっただろう…
　　滅びの手、無いし。　


『　あ。
　　う、うるさい！
　　大体、何だ！最近の若者は！
　　滅びとか、終焉とか！
　　絶望とか、オワコンだとか！！
　　退廃的な言葉ばかり
　　好んで使いおって！


「　えー


『　凡百の価値観に囚われるから
　　そうなる！
　　良いか！こんな時代だからこそ、
　　芸術を愛でるのだ！

　　芸術が気に召さんなら
　　何か他の事でも良い！
　　己が一心不乱に打ち込めるモノを
　　探し出すのだ！
　　
　　そこに世界…いや『宇宙』など、
　　幾らでも広がっておるわッ！


「（色々理不尽ではあるが…
　　もしかして今少し、良いこと
　　言ったんじゃないか？ジジイ…


『　一心不乱に打ち込めるモノ…
　　そう、例えば…





　　【　大富豪　】とか…ね（二カァ）






「　なっ…！？まさかジジイ…
　　

『　２０２１年初春！
　　大富豪【　マデサゴーラ杯　】！
　　開幕　開幕ゥーーッ！！


「　番宣したかった
　　だけかぁあああッ！


『　グハハハハッ！　


「　はぁ…つき合ってられん…
　　魔紅白でも観よ…


『　魔紅白だと…くだらんな。
　　笑ってはいけないアスフェルド学園
　　にしたらどうだ


「　そっちは録画する。

　　
『　魔紅白など…
　　毎年、何らかの理由でキレた
　　紅組支配者が
　　出場者を片っ端から真っ二つにしたり
　　会場を凍り付かせたり（比喩ではない）
　　するだけの、バイオレンス番組
　　ではないか。


☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆



「　死屍類々の山の上で、
　　一人、国歌斉唱する瞬間がウケて
　　なんか毎年、高視聴率らしいぞ。


『　ああ、
　　あのやたら可愛いらしい国歌な。


＿＿　木漏れ日ぃ～の林道に～♪
　　　バルジモアの花が
　　　　　　　　咲くぅ～よ～♪　＿＿


『　全く…くだらん！
　　お、そうだ…ワシは
　　終末ジャ（ゴヌ）ンボ宝くじの
　　当選番号でも確認しに行くとしよう！
　　
「　おーいてらー

『　８億８億ゥ！グハハハハ！


＿＿５分後＿＿


『　滅びよぉォ！
　　こんなどうしようもない世界、
　　余が滅ぼしてくれようぞッ！


「　おーおかえりー
　　当たらなかったか。


『　ぐぬう！
　　８３８８６１枚も買ったのに！
　　参加賞の魔しぐさ書、
　【　悲しみの涙で喉を潤す　】しか
　　貰えぬとはぁぁッ！


「　買いすぎ！
　　そして参加賞良いな！
　　オレ様も１枚買うべきだった！


『　ぬうう！全財産つぎ込んだのに、
　　どうやって冬を越せばいいのだ…


「　悲しみの涙で喉を潤す
　　しかないな！はははは！


『　どうしよう、孫へお年玉すら
　　渡せないなあ…


「　ははは…は？　えっ？


『　え？



「　えっ？


『　ぇ




「　こ、こんの…
　　　クズジジイィーッ！
　シューーーーー！（※スプレー）


『　ぐおおおおッ！？
　　ま、孫ォ！貴様こそ…
　　貴様こそが
　　滅びの手であったかァァ！



☆　　　☆　　　☆ ☆　　　☆　　　☆



『　グォアアー…！ん？
　　七色にィッ
　　染まりゆくワシもまた…
　　うつく…しぃいいい……！
　　（　フェードアウト　）



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おい…フィクションだぞ…



おい……良い年をな。




～～また来年！～～