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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 136

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ザラターンの冒険日誌

2025-07-12 22:39:35.0 2025-07-14 00:17:38.0テーマ:その他

ストレンジャーズ(12)(※ver7.1までのネタバレ注意)

戦場となったアマラークの路地に呪文の詠唱が響く。早口で火精に語り掛けるツキモリの頭上に
火焔渦巻き、瞬く間に巨大な火球が精製されてゆく。

『 “メラゾーマ“…!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


ツキモリが、手に持つ短剣を
呪文の名と共に前に突き出すと、
解き放たれた上空の大火球は、
勢いづいて燃え盛りながら前方の魔物…
フーラズーラを呑み込んでゆくのだった。


『 おおー、すごい!!

『 ふん、要は
  『まだ何ものでもない純粋な創生の魔力』で
  呪文をコーティングしてやりゃ良いのか。
  理屈さえ割れちまえばどうって事ねェな…


目を丸くするクーを尻目に、
魔族はつまらなさそうに鼻を鳴らす。

どうやら奴は、
おれが剣に創生のチカラを纏わせたのを
たった一度見ただけで、
フーラズーラに干渉する術を
自分なりの理論に落とし込んで理解したらしい。

しかし奴は…
『さすがだな』と笑いかける おれを座った目で
一瞥すると、いつものため息を吐いた。


『 ちなみに…創生の魔力ってヤツは
  そこら中に満ち満ちてる。
  それらを上手く取り込めるんなら…

  よほどの大技でも使わねェ限りは、
  どっかのバカみたいに

  『“自分の存在そのもの“を
   すり減らしながら戦う!』

  …なんて、阿呆丸出しの戦法をする 
  必要も無ェはずだ。

『 うっ…言われてみれば…
  そこまで考えて無かった…!


再びの嘆息が 我が身にのしかかる。

確かに…天星郷の時のように
創生のチカラを自分で放出するのでは無く、
さっきみたいに『外から取り込む』のなら、
過度に『創失』とやらの心配はしなくて良さそうだ。盲点だった。


( …が、この上無い朗報でもあるな。うむ。


…気を取り直して、先に進むことにする。

運良くリズク王に遭遇し、
改めて今の状況を理解した今。
おれ達が成すべき事は、一つ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


“ リズク王…!?
  はっ、見慣れない姿とは思いますが
  おれ達は… “

“ アストルティアの…
 『燈火の調査隊』の方々とお見受けします。

  ジーガンフ殿と同じ種族の方がおられたので
  すぐ分かりましたよ。
  救援用の物資が届く、と
  連絡を受けておりました。“

“  おお、ならば話は早…
  うん?ジーガンフ…!?
  い、いえ、今はそれよりも… “


…リズク王との
この偶然の邂逅で得られた情報から、おれ達は
『今この街が置かれている状況』を
正確に把握することができた。


フーラズーラ達の襲撃が
予想よりも随分早かったこと。

襲撃と時を同じくして…
当初から作戦は大きく狂ったが、一か八か。

奴らを生み出している『根源』を討つ為の
討伐隊を、入れ違いに送り出したこと。

そして、その根源とやらを倒せば
今、街を襲っている奴らは
全て消え失せるらしいこと。


…状況は芳しくないはずだが…それでも、
討伐隊の中に、燈火の調査隊の隊長でもある英雄、
通称『エックスさん』の名があった事で、
おれ達は大分、安心することができた。

ならば討伐隊の成功を信じて、と
改めて街の防衛の協力を申し出る事にする。

状況が状況だ。
王は申し出を喜んでくれた。

だがー…
礼の言葉に続いて、


“ ですが…皆さん、 
  どうか無理だけはなさらぬよう。“


と、気遣いの言葉が紡がれる。
そんな王の顔に、なんだか一抹の
“かげり“が見えた気がして…


“ 了解しました。
  なあに、おれ達は冒険者です。
  いざという時の
  逃げ足には自信がありますゆえ! “


…安心させようと、
少しおどけて胸を叩いて見せると
王は自分の表情に気付いたのか、
『それは頼もしい』と笑った。

続けて彼は
おれ達の連れてきた荷馬を指差す。


“ 救援物資を幾らか お分け頂いても?
  私は戦いは苦手なのですが、
  馬術ならば多少の心得があります。
  それがあればきっと、
  多くの民の助けになれましょう。“


元々そのための物資だ。
快諾すると、王は律儀に礼を言って
荷物を手早く自分の白馬に積み替えてゆく。

おれ達も手伝い荷を積み終えると、
王はこちらの武運を祈りつつ、
見事な手綱捌きで街の中央部へと
疾走していったのだった。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆



『 おし、おれ達もいくか!
  エックスさんが根源を断つまで…
  住民を守り切る!

『 よーっし、気張っていこう!

『 うん…!

『 ふん…死なねェ程度にな。


仲間達と頷き合って、
おれ達は、人々を襲うフーラズーラの影を
探して改めて駆け出すのだった。


~つづく~
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