
『男の子の予言』
「せんたっきー、なくなるど!」
「せんたっきー、なくなるど!」
春うらら。
愛犬を連れて散歩をしていると、若いお母さんの自転車のうしろに乗せられた幼い男の子が、二軒のお店を指さしながら通り過ぎてゆきました。
ん?…洗濯機? 無くなるぞ?
なんの意味があるのかと、不思議に思ってふと見ると、フライドチキンとハンバーガーで有名な某ファーストフードショップ同士が、お互いに競り合うように並んで建っていました。
…それから数年後。
男の子の予言どおり、ケ◯タ※キーフラ◯ドチ◯ンのお店が潰れた。

『ナンシー先生』
高校二年生の夏休みが終わった二学期のある日。
私が教室に入ると、同じクラスの男子(…の一部)が、何やらどよめいていました。
「おい、聞いたか?」
「おー、聞いた聞いた!」
「今度の英語の先生、『ナンシー』やって!」
「え、うそっ? マジで?」
「やったあ、パツキンやー! ぼいんぼいんやー!」
男子エロいわ。…アホやわ。
それを聞いた女子たちは冷めた目で、男子(…の一部)を遠巻きに見ていました。
そうしてチャイムが鳴って、待ちに待った英語の授業。
…扉を開けて教室の中に入ってきたのは、60代手前くらいの、冴えない顔をした頭髪の薄い初老の男性でした。
「南志(なんし)」です。
新任の先生が、黒板に自分の名前を書きました。
半開きの口で、魂を抜かれたようにして固まったまま黒板を見つめている男子(…の一部)のあの顔が、いまだに忘れられない。

『また!』
子供のころ。
かわいがっていた、ジャンガリアンハムスターの「チョロ」が死んだ。
少し前まで元気だったのに。
カラカラと回し車に乗って遊んだり、カゴの中をチョロチョロと走り回っていたのに。
チョロは、自分の小さな家の中で冷たくなっていました。
私は、手のひらの中の動かなくなったチョロを、母といっしょに裏庭の畑に埋めました。
大好きだった、ひまわりの種といっしょに。
…初夏のある朝。
母の呼ぶ声で裏庭の畑に行った私は、喜んで声を上げました。
「チョロ」が、また会いにきてくれた!
小さな双葉のひまわりの芽になって。