ノウェの冒険日誌

　　　　　　
　　　　　　灰色の夜に 黄色い首輪の

　　　　年老いた犬が テールランプ見てる




　　　　あんなふうに早く 走れたらいいなあ

　　　あんなふうに僕も 走れたらいいのになあ





　　　　　　　　　追いすぎて
　　
　　　　　　　　　老いすぎて


　　　　　　　足がもう 動かないよ






　　　　　　神様 ひとつ聞いてくれよ

　　　　　　　風切る足を僕にくれよ




　　　　　　　星降る丘に行きたい

　　　　　　　”あの娘”に一度


　　　　　　　星見せてあげたい。












　　　　　

　　　　　　　突き出す 前足をくれよ

　　　　　　　蹴り出す 後ろ足をくれよ






　　　　　　　あの娘を笑顔にしたい


　　　　　　灰色の夜を 駆け抜けてさ。













灰色の夜に ヘッドランプ見えた


一瞬のことだ


あの娘が轢かれた












　　　　　　　　どうして 動かない

　　　　　　　　どうして 笑わない



　　　　　　　　ずっとずっと 君を


　　　　　　　　笑顔にしたいのに



　　　　　　　　堪えても 堪えても


　　　　　　　　涙が出てしまうよ。









　　　　　　　神様 ひとつ聞いてくれよ

　　　　　　あの娘を 助けてやってくれよ


　　　　　　　なんにもいらないから


　　　　　　　　君がいなけりゃ

　　　　　　　　走る意味ないから。





　　　　　　　
　　　　　　　輝く明日なんて いらない

　　　　　たった今 生き絶えたっていいよ




　　　　　　　あの娘を 笑顔にしたい







　　　　　　その笑顔がさ 見えなくても。