人は誰しも、自分の心の中に恨みを抱えて生きていくものだ。
たとえ他の人からはすべてを手に入れたと見られ、妬まれても、
その人はまた別の誰か妬んでいるという事はよくある。
もちろん、何も手に入れていない僕がそんなことを言うのはおこがましい。
おこがましいが、しかし、だからこそ、
僕の声は、生の、本物の声として全員の心に響くのだ。
僕は、去年の8月以降ほとんどログインをしていなかった。
その証拠に、この世界に出戻ったものの証として、
09サーバーを自分の世界とすることができる。
長い時間この世界を見つめていなかったうちに、
一つ、僕の心に禍根を残すようなクエストが追加されていた。
「好色じいさん最後の願い」
ネタバレになるから、クエストの内容は言いたくない。
だが、僕のことをよく知っていて、
このクエストを『正規のやり方』でクリアした人には、
僕が何を言いたいか分かるだろう。
のんびりとした気持ちで、
手間取りながらコントローラを握りながらクエストをやる僕を、
このじじぃは煽ってきたのだ。強烈に。
以前、僕のことをよく知るフレンドさんが、僕を煽ってきたことがある。
曰く、今日はオガ子さんと色気のある会話をしただの、
曰く、彼女らの土下座は凄いから一度見た方がいい、だの……。
だが、僕は何も思わなかった。
なぜならば、それは僕にだって出来ることだからだ。
僕のフレンドリストにだって、いつだってオガ子さんで、僕と色っぽい会話をしたり、
頼み込めば土下座をしてくれるオガ子さんだっているからだ。
だから、その程度のことで、何を言ってるんだ? と、
僕は彼を鼻で笑うことができたのだ。
しかし、このじじぃは違う。
このじじぃは、あまつさえ、クエストという体で、
クリアしなければ絶対に手に入らないアイテムをちらつかせて、
いまこのゲームをちらつかせているオガ子さんたちを呼び寄せているのだ。
僕には、そんなことは出来ない。
いや、この世界の他の誰にも、こんなことは出来ない。
しかも、純粋な愛じゃない。
「だって、うちの奥さんがばいんばいんだったんじゃもの」
オガ子さんですらない奥さんの姿を追い求めていた『だけだ』と、
目の間でああいう姿をさらしてくれるオガ子さんをしり目に僕に言うのだ。
ゆゆせない。怒り心頭である。
純真な愛を持たざる者には機会が訪れ、
なぜ純朴たる感情しか持ち合わせていない僕には、
全ての彼女たちを愛でる機会をもらえないのか。
世界とは、こうも不平等なものである。
15年8月以降の休止。9か月の、闇。
そこから抜けたと思った僕は、いま取るに足らない存在に脅かされている自身を自覚している。
闇を抜けた先には、光があるのではなかったか……?
(でもその陰で色々と役得な思いをしたので、
僕は自分のウデの周りにいる彼女たちだけを、
案じていればいいのだと思ったりもしました。げへへ)
おわれ。
15分で書いた日誌にしてはうまくできたでござる。