しばらく日々のことばかり書いていたが、なにしろドラクエ10はストーリーがとてもよいのでVer3を振り返る。領界をつなぐ解放者として、炎と氷の領界をつないだエテマメが今度は闇の領界を訪れた。いつものように、献身的なトビアス隊が先行して散々な目にあったようだが、竜族がマジメだよねと思うのはいつもマジメな彼らを見ているせいでもある。
闇の領界は毒が漂う、陽光すら差し込まない世界だ。カーラモーラというへんぴな村で、毒に倒れたマイユさんを見つけると、毒を癒す月の光が差し込む浄月の間に連れていかれるが、楽園の悪魔なるモノが襲ってきて月を破壊してしまう。村を救うために少年サジェことチビメガネと一緒に楽園に向かう。
というあらすじ。このあたりから、いよいよストーリーの全容が見えてくる。
ナドラガンドを破壊した張本人がアイツなのは間違いない。世界を滅ぼすほどの、炎とか氷とか毒を使えそうなヤツなんて他にいない。竜族はそのとばっちりの中でマジメに生きているが、それを手助けしている連中がいいやつか悪いやつかはわからない。だが少なくとも彼らはいま竜族を助けている。そしてエテマメには竜族を助けない理由がない。
邪悪なる意志は少なくとも教団と関係がある人物で、たぶん彼だろうという予想はつく。もちろんエジャルナに行ったはずのダストンさんは見当たらない。こんな感じで考えたが、まだわからないこともある。
・邪悪なる意志は領界を越える能力を持ってるよね。
なのに教団は解放者を求めてる?
・邪悪なる意志が教団の関係者だということを、教団の誰が知ってるか。
少なくともトビアスやエステラさんは知らないぽい。
そして浄月の間では、姉のミムメモとエステラさんの一騎打ちがあってもうちょっと観戦したかった。ミムメモといえば走り出したら止まらないぜ土曜の夜は天使な性格だから、ああうん彼女は邪悪なる意志と教団がおんなじものだと考えてるのねとここで気づく。
一枚岩の組織なんてものは、世の中にそうないのだということを彼女には知ってもらいたいが、ミムメモが邪悪なる意志と対立してることは確認できた。彼女にさらわれたアンちゃんとラグアス王子は、たぶん彼女と一緒にいるだろう。それからミムメモの壁走りと、エステラさんのコントロール・メラゾーマはぜひやりかたを教えてほしい。
で、忘れてはいけないカーラーモーラの人々だが、村を救う希望と真実を知る恐怖を秤にかけて、前者を選んだチビメガネと後者を選んだ村長はどちらも間違ってはいない。竜族らしくマジメに村を救おうと考えていたら、村長のときは時期尚早だがチビメガネのときに機は熟した、それだけだ。そして同時に確信する。これだけマジメな竜族が、伝承や伝説をマジメに伝えないワケがない。誰かがネジまげて伝えない限り。
このことはワギ神も考えたのだろう。目の前で苦しんでる竜族を助けないってどうなのよと悩みもしたが、神様というのは不便なもので、決まりごとを破ってもOKならそれは神様ではなくなっちまう。なぜならば、決まりごとを決めたのは神様だからだ。
ワギはその「裁定者」たることをエテマメに求めた。ここから二つのことがわかる。少なくともいま竜族が苦しんでいることは彼らのせいではないことと、神様には決まりごとを変えるための「裁定者」という立場が存在するということだ。
「めんどくさい やつらだな」
エテマメは快諾する。カーラーモーラの竜族たちは、神様の助けなんかなくても自分で自分たちを助けるだろう。だが神様だって竜族を助けたければ助けてやればいい。
ナドラガンドを壊したやつがいるのはともかくとして。闇の領界を浄化しようとしていることも、闇の領界で暮らす竜族を助けようとすることも、そして、二度と過ちを犯さないために決まりごとを守り続けることも、やりたいなら自分の意思でやればいい。ぶつかることなんていくらでもあるのだから、そのときは話し合いでも殴り合いでもすればいい。少なくともミムメモだって、彼女が正しいと思うことをしているのはわかる。
そして改めて思う。エステラさんはいい人だ。エステラさんは神官長たるナダイアさんに、神官としての任務を自覚しろと叱られる。もしも目の前に世界の危機が迫っていて、傍らで子供が泣いていたら。トビアスだったら世界を救いながらも、子供を見捨てたことを忘れないだろう。エステラさんは真っ先に子供を助けるだろう。その後で、もしかしたら世界も救えるかもしれない。どちらがいいという話ではない。教団の指導者にふさわしいのはトビアスだが、「英雄はすべてを救う」のはエステラさんというだけだ。
エテマメはともだちを助けるだけだ。もちろんエステラさんもともだちだ。