チビメガネことサジェがちょっぴり色気づいたところが見れるヒエログリフこと神聖秘文。というと語弊があるが、ナドラガンドのその後と竜族の未来をかいま見ることができるクエストだ。「兄よりすぐれた妹弟など存在しねえ」が原因で滅びかけたナドラガンドは、それが再びの介入であることを承知の上で、五種族の神様が再生の手助けを続けている。
だが神様の余計な介入と、自ら自分たちを救おうとする竜族の努力はどうやら無駄ではなかったらしい。エテマメは解放者呼ばわりされて領界を繋いだのと、立ちはだかる相手をウホウホ殴りたおしただけだ。それはきっかけかもしれないが、ナドラガンドのために何千年も力を尽くしていた神様と竜族の努力に遠くおよばない。
そしてVer.3本編では語られていない、氷の領界の神獣リルチェラの謎もここで明かされていて、いやこれ本編で説明したほうがよかったんじゃないかと思うがサブストーリーも含めて本編なんだと改めて気づかされるのだ。確かに神獣とは神々の眷属だから、五つの神獣が現れた場面にリルチェラがいたことは納得したようなしないような気がしていたから、これは目からウモウだった。
エジャルナ教団が領界を繋ぐ解放者を望んだのは、神の器と親しい解放者がナドラガ復活のカギになるからだった。教団にとって解放者は利用されるための存在だが、繋がれた領界は互いに影響を及ぼして、それぞれの気候にちょっぴりずつ変化をもたらしていた。ヒエログリフを解いていくことで、修復されていく世界が明らかになった。
解放者でなくても領界を行き来することはできた。だが利用されていたとしても、領界を繋いだ意味はあったのだと思うと、実はちょっぴりエテマメも救われた気分になったのだが、そんなことはわざわざ口にする必要がないから、ナドラガンドの新しい景色を写真に収めることにする。そのときがくるのは、意外とそんなに遠くない未来かもしれない。
ベサワキ無限クエスト。
なにが無限かといえばエステラ様の像が無限にもらえるクエストだが、なにしろベサワキといえば実家の宿屋に自覚もなく異空間を発生させるほどの傑物だ。彼は最初からすごいやつだったから、このクエストでもベサワキはなにも変わらない。だがそれがいい。
ベサワキは変わったり成長したりしなくても、彼がベサワキであり続ければそれだけで彼はすごいやつだ。そしてそれは何の心配もないだろう。いずれ大神殿にエステラ様の像が建つかといえば、数百年とか数千年後になっても実現はしないと思う。
トビアスの隠し子クエスト。
アストルティアに渡ったエステラさんはとてもいい人だが、協団として新しく出発したエジャルナの指導者にはトビアスがふさわしい。これは憶測でしかないが、竜族のこととか教団のことを考えているトビアスは、目の前のことばかり見ているエステラさんが自分よりも優秀なことに悩んでいただろう。竜化の術を制御できるほど強い意志を持つ竜族は、ナダイア様とアンリシャルパンテロとエステラ様、ついでにクロウズだった。
本当は、優秀というならエステラさんよりもトビアスの方が優秀だ。ただ、だからこそトビアスが竜族や教団のことを考える思いは、目の前の人を助けようとするエステラさんの意志や、邪悪と言われても竜族を救うナダイア様の意志に及ばなかった。だけど竜族の中で誰よりも悩んでいて、誰よりも(物理的に)傷ついていたのはトビアスだ。
なにかを説明するのでもなく、なにかを教えるのでもなく、トビアスにそれを悟らせてくれたのが「ルビー」だった。まじめなトビアスをして、自分の責任や職務よりもなにかを守りたい思いがある!ことに気づかせてくれたのが彼女だった。
それまでトビアスにそういう思いがなかったはずはない。責任や職務のために、あれだけ(物理的に)傷ついていたトビアスだ。だがまじめだからこそ、自分がそうするのは当然だと思っていたのだろう。そのトビアスが自分の強い意志に気がついたのは、「責任や職務や物理的に傷つくほどの危険を他人に任せた」ときだった。なにこいつほんといいやつじゃんと思ったから、そのために危険を引き受けるとかエテマメにはお安い御用だった。
ナドラガンドを救うために、ルビーは眠りについた。彼女が目覚めたとき、そこにはトビアスが待っていてくれるだろう。何十年でも何百年でも、時間なんてどうにでもなる。だが、意外とそれはそう遠くない未来のできごとかもしれない。
壊れかけたナドラガンドが修復されて、魔瘴が浄化されたときに、未来は訪れるのだから。
あとひとつ気になったのだが、トビアス篇の最後に出てくる「あいつ」の場面。これってVer.5をクリアした後でも出てくるのだろうか。