おもさと体重のあいだに相関関係は存在しない。うちのキャラクターは女性だからおもさをふやしたくないという話も聞くけれど、転職したら増えたり減ったりする体重なんてものは世の中にないからだ。ちからが武器を使いこなして威力を増すための能力だというように、みりょくは対峙する相手からの注意や注目をコントロールする能力だというように、おもさはどれだけのチカラがある敵を押しとどめて拮抗できるかを示した能力だと思っている。すべてはその職業にふさわしい身さばきや身ごなしに起因する。
いまさらだけどマメミムのなかのひとはどんくさい。
真夜中のプリズランをすれば開始30秒で捕まる自信がある。トラシュカに漕ぎ出せばなにもないところで海に落ちる。バレーボールをすればオレの腕が真っ赤に腫れあがり、卓球をすれば魔球がとなりの台にとんでいくありさまだ。こんなどんくさがドラクエ10の擬似リアルタイム制ターンバトルについていけるわけがないから、足りないものは知識と性能でなんとかするしかない。つまりどんくさが操作するマメミムの性能を上げればいい。
マメミムは本職魔法使いと占い師、それからパラディンをやってるけど、酒場に預けるときは僧侶を選んでいる。僧侶で経験値は稼いでいないから、借りてくださったフレさんたちがマメミムを育ててくれている。マメ僧侶に必要なものはHPでもかいふく魔力でもなくすばやさで、預けはじめた当時は禿頭鬼ハゲルザークを相手にサポ討伐をえんえん試していたころですばやさ600くらい。これがうわさの天星郷パニガルむで女神がもくもくするようになっていよいよ765に到達した。すばやさ330上がると行動間隔が1秒短くなるから、0.5秒早く反応するマメミムだ。
これでなにが変わるといえば、コマンドメニューが開くのがひとより0.5秒早ければ、ひとより反応が0.5秒遅いどんくさでも相殺できることになる。犬仮面ピオラが発動すれば、1.5秒早い高機動型マメミムが誕生する。「すばやいから間に合う」ことができればいい。
そして僧侶にすばやさが必要なら、パラディンにはおもさとみのまもりがあればいい。
マメパラのみのまもりが638。だいぼうぎょの効果はみのまもりに依存するから、これが640に届けば最大94%のダメージを消すことができるようになるはずだ。盾の性能は関係ない。スティック装備もヤリ装備も関係ない。敵の前から一歩も退かずにさみだれ突きを打ちつづけ、反撃をだいぼうぎょで消してみせる姿はこれぞ勇者にいちばん近い職業ではないかと思わせる。
マメパラのおもさがハンマー装備で631。ヘビチャージ時の総重量がいよいよブレス耐性100%で1363に到達した。最初の話にもどれば「どれだけのチカラがある敵を押しとどめて拮抗できるかを示した能力」だ。レグナードに拮抗できる。レギルラッゾローガストに拮抗できる。ガルドドンに拮抗できる。
マメミムが最初にフレになったご近所さんに連れて行ってもらったレグナード。巨大なドラゴンを真っ向おさえるパラディンの背中から、魔法使いマメミムがメラゾーマやメラガイアーを放り込む。そのときに見た背中があまりにもかっこよかったから、魔法使いと占い師の次にやる職業はパラディンしかありえなかった。おもさも足りない耐性もなんもないマメパラディンが、かっこいいとはとうていいえない頼りなさでつよさ1のレグナードをおさえたことを忘れない。
もうひとつ必要なものがある。どれだけどんくさくても敵に胸をさらして味方に背を向ける勇気があればいいことを、パラディンを志したものなら知っている。敵の前から一歩も退かず、必ずおとずれる無防備な空白をおそれずにだいぼうぎょで立ちはだかることができるかどうか。なかまを信じてそこに立ちつづけることができるかどうか。勇気ある者、パラディンにほんとうに必要な能力はそれだけだ。
女神の木に助けられて、ようやくここまでたどりつく。