この世界における神様というか種族神とはなにかといえば、それほど特別な存在というわけではなく「創世のチカラに起因する強い肉体と能力をもった種族のひとつ」というあたりだろうかと思ってる。そして羽つきどもが過去の英雄たちのタマシイを拉致してまでやりたかった、しんかの儀はなにかといえば、しんかの秘法とおなじく人間を神様のような存在にシンカさせることだと理解した。
その強いチカラで神様キャノンでもぶっぱなして侵略者を撃退してよというのが羽つきたちの目論見だったけど、あにはからんやなにものかの介入で失敗させられると、英雄たちは暴走した悪神になってアストルティアの地上に解き放たれる。まがりなりにも神様だから、止めるにはたぶんかみごろしの実績があるマメミムがふさわしい。
エルドランなんてメーワクよ!
とでも言いたくなるマッチポンプぶりだけど、この場合はマッチとポンプが別人だから彼らはたんなる放火魔だ。しんかの儀で英雄たちに強い肉体と能力を与えることには成功していたから、呪炎の種とやらを植えられて負の感情が暴走している彼らを止めなければならぬ。魔瘴に触れた者が負の感情を暴走させるのとりくつはたぶんおんなじで、暴走したあげく「天星郷を滅ぼそうぜ」と言い出したラダ・ガートはやはり人格者だと思う。
ともあれ解き放たれた英雄たちがさわぎをおこしはじめたらしく、ドルワームではカルサドラが噴火をはじめて空が黒くなっている。こなみじんになっても再生できそうな羽つきなぞどうなってもよいが、アストルティア屈指の名君ウラード王に頭を下げられていやとはいえぬ。大陸の危難に王族がいないとはありえぬと、ポイックリンもといチリも同行を申し出ると山神イプチャルの助言を得て古代ウルベアの炎、ガテリア皇子ビャンダオの術、ドルワーム王家に伝わる炉のチカラをあわせてーー
三闘士の名を関する三国の子孫がふつうにチカラをあわせるよい話だけど、これ少なくともメレアーデが見届けないといけないんじゃないかと思ったのは秘密にする。グルヤンラシュが罪を犯してもドワーフは生きている。それを忘れないことでドワーフは彼を赦すことができると思うのだけど、忘れてるやつになにを言ってもむだではある。これからもグルヤンラシュは「乱世の引き金となった魔物」でありつづけるのだろう。
羽つきもクオードを英雄候補から外したから別にいいよね!
呪炎の種とやらを植えられた者は負の感情を暴走させる。ナンナの国がカブの国を滅ぼした。オレたちは穴ぐらから出るべきではなかったというのが彼らの負の感情だけど、残されたドルタムの国が兄姉を忘れることはなかったし、水晶宮のレリーフにはいまでも三人の像が描かれている。おまえたちは立派に国を興したのだから、子孫の所業まで抱え込むことなんかない。最近の若ぇもんはなってないと文句をいう老人にでもなればいい。老人たちを叱りつける王女の姿が頼もしく映る。
穴ぐらから出たドワーフの歴史はたまにまちがえたこともあるけれど、ドワチャッカが沈むことはなく砂漠化はかろうじて食い止められて、国はいまも続いている。羽つきどもに選ばれなかったどわこは冥王ネルゲルを打倒した。
やっぱりドワーフも悪くない。
ところで同行を申し出たといえばユーちゃんマジ役立たず。彼女の存在意義といえばマメミムにおべっかを使うのがせいぜいで、とうとつに会話に割り込んでくるのはまだしも許せるけど、羽つきの身勝手で囚われた英雄たちを悪神よばわりしたあげくにいちいち呼び捨てにするのがどうにも慣れぬ。さんをつけろよデコ助野郎といってやりたくなるのだが、選民思想にこりかたまった羽つきのモラルに期待するだけむだではある。
負の感情が暴走してもラダ・ガートは人格者だったし三闘士も気のいい連中だった。悪人になりきれないリナーシェもまじめで融通がきかないハクオウも、羽つきの身勝手にふりまわされた彼らが悪評を被るようなまねはさせたくない。
ユーライザが呼び捨てにしている連中を助けに行こう。