ルミナちゃんにペガサス流星拳(キック)でふっとばされると某聖闘士☆矢のようにドシャアと地上に落ちていったごりら長こと天使長を探してくれないか。ごりら不在のあいだ、臨時で天使長代理補佐見習いの友人に任命されたチンパンティスから正直すまんかったと頭を下げられる。天星郷の中でもアレな羽つきどもの筆頭にあげられることが多い彼だけど、基本的には単細胞くんなだけでアルビデが吹聴した悪評を信じたきらいはある。事情が知れて、最初に非礼をわびて頭を下げてくるのがこいつというのも予想どおりだったから
「気にするなよチンパンティス(白チャ)」
個人的にはカンティスや門衛ピュトスはきらいじゃない。
ピンクゴリラもとい天使長が落ちたチョッピ荒野に赴くと、封鎖された鉱山アラモンドにならずもののプクリポたちがたむろする町がある。かつて賢王プーポッパンの命で閉鎖されたというご禁制の品が採掘されていた場所で、常習性があって健康被害がでるといえばそれはMayacdonald(自粛表現)とちがわないのではないか。天空の羽つき生物がろくな連中ではないように、この鉱山にいる動物どももろくな連中ではないようだ。
流星の帝王をたずねてみろ。そう言われてげんなりする。ユーちゃんまじバッジがてきとうなことを言ってたが、こんな厨二病めいた名前をつけるやつはほかにいない。よりにもよってアストルティアで帝王を名乗ったのは災厄の王だけど、ハクオウがどう思うとか考えないんだろうなあとペガサス流星拳(キック)でふっとばされたピンクゴリラを探しあてる。いい歳こいてスネてみせるとどうせ勝てないから帰りたくないとダダをこねているおばさんに、こいつもフィネトカのばあさんの同類かと思わせる。
強い英雄になんとかしてもらう。強い神様になんとかしてもらう。そんな考えが染みついたものは強い相手に勝つにはどうしたらいいか考えられなくなっちまう。考えるのをやめることはしぬことと同じだ。切りましょうとか言える世界に生きていれば勝手にあきらめるのもよいだろう。こんなごりらは放置してもいいのだけれど、地上がよごれるからぜひともお空にお帰りねがいたい。
決着はQTEだった。
経緯はともあれアストルティアの子らを守るために石ころどもをやっつけようと、ごりら長が考えを改めたのはわるいことではないのだろう。あまりにもつっこみどころは多いけど、逃げるばかり隠れるばかりでジアクトの存在すら知られないように隠していた羽つきどもの頭目が、こぶしをふりあげ胸をぼこぼこたたいて勇ましく吠えるようにはなった。きのどくで気のいい英雄たちをとらまえて、しんかのひほうで神様にしてやるから天星郷を守れという横暴から彼らがちょっぴりでも解き放たれるかもしれぬ。
だけど、それでいいのかとは思う。
もちろん魔窟アラモンドのことだ。インターネットを検索すれば「プクリポという種族の外見のせいで〜」などと書かれているが、ひかえめに見ても違法薬物を扱う悪党どもの巣窟でしかないこの場所は、いずれラグアス王子に注進しても兵をさしむけて討伐したほうがいいのではないか。両親を亡くしてここで育ったというピコが、常識もモラルもないぬすっとになっている。みんなしょっぴいて子供はオルフェアのサーカス団にでも預けれていればよほど真人間になっていたろうに。
善人なら助ける。悪人以外は助けるといった罪深い考えはしたくない。たとえすべての麦が倒れ、水がひあがり涙が枯れたとしても、おまえの声が枯れないかぎり救いは必ずおとずれる。英雄はすべてを救う。村人もクレルも助けようとしたザンクローネとラスカの姿をマメミムは忘れない。
だれかを見捨てようとするくらいなら。
なにかを諦めようとするくらいなら。
ぜんぶを助けようとするのがただしいはずなのだとマメミムは信じている。