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私が占い師を始めて、一番理解できなかった言葉は「相方」でした。このネットゲーム特有の言葉をどうとらえるかに四苦八苦していました。一般社会でも相方という言葉は使われますが、一般社会での相方は、お笑いコンビの片割れを相方と言うなど、基本的には2人の仕事仲間で自分以外の人間を指す言葉として使われます。
そしてアルトルティアの世界での「相方」は、一番一緒にいる時間の長い特定の一のフレンドを指すことが多く、しかも「異性」キャラであることが多いです。これはアストルティアの世界だけではなく、ネットスラングとしてゲーム上の「恋人」を指す言葉となっています。
さて、一般社会の相方はお笑いコンビの片割れを指すと先ほど書きましたが、お笑いコンビの片割れは基本的に同性がほとんどです。しかし、「相方」は異性がほとんどです。これが私の違和感が生まれた理由です。この「相方」というのは、アストルティアの人間関係の中で最も悩み多き闇となっている関係です。
私が難しく考えすぎているだけなのかもしれません。しかし、実際にいろいろな相方に関する相談を受けていて感じていることです。
人間関係の問題の多くは、人間相互間の意識の違いから生じます。Aさんはよかれと思ってやったことがBさんにとって苦痛になっているというのが、人間関係の悩みの発端です。AさんがBさんと他の冒険者とプレイしているときに、Bさんのプレイを邪魔しないように、Aさんが距離を置いたとしましょう。BさんはAさんが距離を取ったと思って、昔より雑に扱われていると感じて「最近、Aさんに雑に扱われている気がするんです。」と、私のところに相談に来る。ばかばかしい話かもしれませんが、これが人間関係の相談のほとんどです。
冒頭に私の相方観について書きましたが、「相方」は、世の中全員がその2人の関係について統一的な認識できるような普遍的な言葉ではありません。
なぜ、「相方」は、定義されないのでしょうか。それは、「相方」というのは意識的に人間相互間の意識の違いを利用し築き上げた関係であるからです。
異性に対して「付き合ってください。」「恋人になってください。」と言うには勇気が必要です。しかし、「相方になってください」というのは非常に言いやすいです。私からすれば「付き合ってください」と言っているのと変わらないと思うのですが、どうやらそうでもないようです。
ここからは男女の意識の差について言及します。ここからの話の男女というのは、ゲームキャラの性別についてではなくて、動かしている人の性別の話です。
「相方」という言葉は、性別によって受け止め方が違います。全部が全部そうだというわけではありませんが、傾向として書いていきます。
まず、女性ですが、女性は「相方」という言葉を軽いイメージで受け止めている傾向にあります。つまり、フレンドの中で一緒に冒険するパートナーという認識です。恋人とか意中の人とかそういう意識は希薄です。
一方男性はどうでしょうか。男性は「相方」を「(ゲームの中の)恋人」ととらえている人が多いです。
この男女の意識の差は、2人の関係が出発するために有効に働きます。女性は男性に比べて警戒心が強く、見知らぬ人への急激な関係の変化を望んでいません。一方で男性は、見知らぬ女性への警戒心はなく、自分が良いとおもった女性に対して関係をつくることに抵抗がありません。
一方で、男性も女性も思いの強さに差があるにせよ、心の奥底で常に異性のパートナーを求めています。
アストルティアで異性のパートナーを作るに当たって、「相方」という言葉の男女間で意識の差は好都合です。女性は「相方」になることに対して抵抗が低く、男性は、「相方」に欲求を乗せることができます。
こうして、アストルティアの世界ではたくさんの相方が作られていきます。
アストルティアの闇12に続く