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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2014-09-25 00:56:13.0 2014-09-25 01:08:59.0テーマ:その他

なりきり冒険日誌~大空を飛ぶ(5)【ややネタバレ有】

 結論から言おう。結果は惨敗だった。
 三色の翼が入り乱れる混戦の中、私は味方の位置を失い、飛竜が翼をはためかすたびにソーラドーラはころころと転がされた。
 いかに竜とはいえ、まだ子供。魔法使いや僧侶以上に打たれ弱い彼なのだ。回復すら間に合わない。
 リルリラも最近、腕を上げてきたとはいえ、タフな方とは言い難い。この乱戦には耐えられなかった。
 唯一、酒場で雇ったもう一人の僧侶は孤軍奮闘してくれたのだが、それにも限度がある。
 魔法戦士である私は、その性質上、味方が立っていてこそ力を発揮できる。この状況では右往左往するばかりだった。
 こうして挑戦は散々な結果に終わった。 「よかったではないか」

 と、賢者ルシェンダは言う。

「そのドラゴンキッズが二度と飛竜の姿にならなければ、それで許してくれるというのだろう? 交渉の結果としては上出来だ」

 賢者の執務室。私の報告を聞いた賢者殿は平然としてそう言った。
 竜の長が下した裁きは、彼女の言った通りのものだった。寛大と言えば、確かに寛大である。敗者である我々は、それを受け入れるしかない。

「敗北を恥じることは無い。勇者の盟友ですら、必死の戦いの末、ようやく認められたのだからな。一介の魔法戦士には荷が重すぎたのだよ」

 言いながら手元の記録帳になにがしか書き込むと、パタリと閉じ、こちらを一瞥した。
 竜の長が、私を見る時の目によく似ていた。
 跪いたまま、拳を握りしめる。

「お言葉ですが、賢者殿」

 私は痛む体を起こし、賢者の瞳を見返した。

「私もヴェリナードの魔法戦士。母国の名誉を背負っております」

 ム……と、賢者ルシェンダの表情が歪んだ。明らかに、余計なことを言ってしまった……という顔だ。

「ヴェリナードの魔法戦士が勇者の盟友にも劣らぬ戦士であること、ひと月の後に証明して御覧に入れましょう」

 溜息。賢者は首を振る。

「長を刺激したくないのだがな……」
「勝てば、よろしいのでしょう?」
「熱くなるタイプだな、お主」
「失礼」

 踵を返し、私は部屋を出た。
 確かに、熱くなっていた。
 だが、自分だけの感情で再挑戦を決めたわけでもなかった。  ジュレットの自宅に戻ると、ソーラドーラが玄関脇でうずくまっていた。
 声をかけてもチラリとこちらを振り返るのみ。
 もう治療は済み、大方の傷は癒えたはずだが、あの戦いからこちら、ずっとこの調子である。

「いじけてるニャー」

 ニャルベルトが杖で小突くが、振り向きもしない。翼を閉じて眠ったふりの仔竜だった。

「そんなに悔しいニャ?」

 負けたことが悔しい、それもあるだろう。
 だが、それ以上に、ソラなりにことの成り行きを理解しているに違いない。
 飛竜となり、勇者と共に戦う。姫のことが好きでたまらないソラにとって、大空は憧れの世界だ。
 一つの敗北は、彼の夢への道を閉ざしたのみならず、彼の心をも閉ざしてしまったようだった。
 ソラの世話を姫から任されている身として、これを放っておいて良い法は無い。

「勝てばいいのだろう」

 賢者に告げたのと同じ言葉を私が再び口にすると、仔竜の翼がピクンと揺れた。
 勝機はある。
 リルリラには留守番にまわってもらい、一流の僧侶を二人雇う。これだけでもかなり違うはずだ。
 さらに、飛竜の猛攻に耐えうる屈強な戦士、もしくは敵を一喝して怯ませる武闘家あたりを入れれば、戦局はかなり安定するはずだ。
 が、しかし。
 私はドラゴンキッズの角を掴み、ぐっと顔を引き寄せた。

「ソラよ、お前は外さんぞ」

 仔竜が瞳を開く。私は瞳に力を込め、正面から彼と向き合った。

「私が魔法戦士として戦うことに拘るように、この戦いはお前と共に戦わなければ意味がない。わかるな?」

 ソラは、少し驚いたような表情で私を見つめ返すと、何度か瞬きし、そして理解したらしい。瞳に強い光が宿る。
 互いに初めてみせる表情で頷き合った時、再挑戦の編成は決定した。

「なら、特訓だニャ」

 ニャルベルトがニヤリと笑う。私が頷きを返した瞬間、ヒョイとソラの身体が跳ね上がり、やがてしきりに腕を振りまわり始めた。
 もしや、これは素振りのつもりか?
 苦笑交じりに頭をなでてやる。
 悪いが、その程度の特訓ではまだまだ足りない。
 私もソラも、徹底的に鍛え直す。
 その日から、私とソラはレンダーシア北部、ワルド水源に泊まり込むことになった。
 冒険者の修業場として知られるこの地で、来る日も来る日も修練に明け暮れる。

 そしてひと月の後。
 夕映えに燃えるドラクロンの地に、一人の魔法戦士と、一匹のドラゴンキッズの姿があった。
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