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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2020-04-22 20:41:17.0 テーマ:その他

魔界大戦(3)~なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

 戦いは続く。
 果てしない戦場の片隅で、王たちの一騎打ちが、まさに始まろうとしていた。

 自ら生み出した氷柱の上に立ち、槍先から凍てつく吹雪を放つヴァレリアの姿はさながら戦場を舞う氷竜。
 必殺の魔剣を手にそれを見上げたユシュカは、さしずめ竜殺しの剣を携えた英雄か。

「………ッ!!」

 一瞬の沈黙の後、ユシュカが鬨の声を上げた。
 氷柱を駆けあがり、魔剣を振るう。
 ただ一太刀で全てが終わる。
 だが。

 鋼が打ち合う、鈍い音が響く。
 一太刀が届かぬ。ヴァレリアのハルバードはユシュカの剣を容易く受け止めていた。
 槍のリーチが太刀筋を阻み、返す刀で斧の圧力が襲う。ユシュカは紙一重でかわしつつ二の太刀を放つが、これも分厚い柄に阻まれる。至近距離、二人の魔王が睨み合った。

「…………!!」

 一つ、二つの言葉はかわしたかもしれない。戦場の叫喚が全てをかき消した。
 跳ね飛ばされたユシュカを斧槍の斬撃が襲う。一つ、二つ、三つ……! ユシュカは後退を余儀なくされる。だが魔王のプライドが、ただ退くことを良しとしない。三つめをかわしざま、彼は高く跳んだ。空中からの奇襲だ。
 鋭い飛び込み……距離がある。槍の連撃をかわしたその位置からの飛び込みは、ヴァレリアにとって奇襲たりえなかった。無造作とも思えるハルバードの一振りが空中のユシュカを狙い撃つ。支えの無い空中でそれを受け止めきれず、ユシュカの身体はさらに後方へと流された。
 流れ矢が二人の間を遮る。ヴァレリアが遠い。
 焦燥がファラザードの魔王を包み始めた。
 魔剣アストロンをもってヴァレリアを討つ。この戦いの要所は、その一点につきた。そして今まさに、彼はそのヴァレリアと太刀を合わせているのだ。
 だが遠い。ただ一太刀の傷が入らぬ。そして戦いが長引けば長引くほど、ファラザードの犠牲は増えていく。ユシュカは歯噛みした。この男には珍しいことだ。

 彼は大きく息を吸い込み、気合の雄叫びを上げた。
 と、同時に紅蓮の衣が彼の身体を包む。炎を纏った砂漠の王が、氷の魔女に向けて一直線に走り出した。  ブラックアーマーがそれを阻む。だが炎は黒鉄をすり抜ける。ヴァレリアは鉾槍を地に突き立て、凍気を放った。
 地を這う氷の大蛇が熱風に絡みつく。だが、気合一閃! 紅蓮の風は一撃のもとにそれを粉砕した。
 形を失った大蛇が水蒸気となり爆発する。水煙を隠れ蓑として、彼は走った。
 燃える眼差しが、ついにヴァレリアを捕える。
 煙の中から放たれた横薙ぎの斬撃を、魔女は矛先で迎えうつ。
 ユシュカは切っ先を軸に竜巻のように身を翻し、刃の内側に入り込む。回転の勢いを殺さず続けざまの一撃。ヴァレリアは柄の部分で受ける。さらに回転。炎の竜巻が氷の魔女の懐へともぐりこむ。
 ヴァレリアは一歩下がり、石突きで応戦。三度火花が散る。肉薄! 鍔迫り合いとなった。

 ユシュカは剣を両手に持ちかえ、体重をかけて押し込む。ヴァレリアは不自然な逆持ちの状態で武器に力を込め、それを押し返す。
 ユシュカの炎とヴァレリアの凍気が渦を巻き、戦場に陽炎が揺らめいた。
 力と力がせめぎ合う。誰もが固唾をのんで見守った。
 拮抗……!!
 その緊張の中……フッと、ユシュカは崩れるように力を抜いた。上半身が地面すれすれまでのけぞる。
 ヴァレリアの斧槍が前のめりに空を斬る。
 ユシュカはほとんど仰向けに倒れたような姿勢から逆袈裟の一撃を放った。
 無防備な胸元に向けた会心の一撃。牙むくは必殺の魔剣。彼は勝利を確信しただろう。

 だが、ヴァレリアは氷の魔女だった。戦闘の天才だった。
 彼女は躊躇うことなく得物を手放すと、剣を振り上げようとするユシュカの右手を素手で掴み、止めた。
 ユシュカの顔がまず驚愕に、次に苦痛に歪む。氷の魔女に掴まれた腕は一瞬にして凍結していた。もはや動かぬ。そして氷は腕を這いあがり、彼の全身を埋め尽くさんとしていた。
 攻守は逆転した。退くことも攻めることもあたわず。追い詰められたユシュカはついに身にまとった炎を左手に集め、その拳をもって己の右腕を殴った。まとわりついた凍気が爆発炎上する。
 ヴァレリアは舌打ちしつつ手を離し、退避する。
 自爆にも等しいこの行為により彼の右腕は自由を得た。が、それは彼の求める勝利には程遠かった。

 ユシュカの顔が怒りと屈辱に歪んだ。何故、ただの一撃が入らない。たった一太刀の傷で全ては決まるというのに……
 副官ナジーンに支えられ、立ち上がった彼が再び剣を構えた、その時だった。
 天から光が降り注いだのは。
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