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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2020-05-04 23:36:40.0 テーマ:その他

続・魔界大戦(1)~なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

 ゲルヘナ幻野の東、入り組んだ岩石荒野を抜けた先に、深く広大な森林地帯がある。
 妖しく輝く魔界の陽光を樹々の青葉が受け止め、銀の木漏れ日が幽玄なる景色を映し出す。
 青の樹海。魔界で最も古き森。ベルヴァインの森は魔界有数の肥沃な森林地帯である。樹々は淡く艶やかな花弁を咲きほこらせ、鳥達は風が鳴くように歌う。
 その妖しくも美しい光景は多くの旅人を虜にしてきた。

 だが今、景色に目を奪われる者はいない。
 鳥達の声に耳を澄ます者はいない。  森を突き進む男たちの目に宿るのは怒りの炎。睨み据えるのは憎悪の対象。
 耳は風斬り音を上げて飛ぶ砲弾の音を聞き、叫喚の声が木々を揺らす。
 鋼が打ち合う音が響き、戦火が森を焼き焦がす。先を争って飛び立つ鳥たちを、目で追う者すらいなかった。

 ゼクレス魔導国領、ベルヴァイン森林地帯にて。
 魔界大戦。その後半戦が繰り広げられていた。

 * * *

 私の名はミラージュ。ヴェリナードに仕える魔法戦士である。魔界情勢の調査が、本国から与えられた私の任務だ。
 だが、今は……

「ミラージュ、ユシュカたちが……」
「下がってください、イルーシャ殿!」

 前に出ようとする巫女殿を押とどめる。これ以上近づけば確実に巻き込まれる。この距離でも相当危ういのだ。

「私はあなたに雇われたのです。前に出させるわけにはいきません」

 断固として下がらせる。イルーシャは不安げな視線を前線に向けていた。
 彼女に雇われた護衛の冒険者。それが今の私の立場だ。
 前線では、ユシュカ王とファラザード兵がゼクレス兵に取り囲まれていた。数では敵が勝る。
 だがユシュカはそのまま突き進んだ。勢いならばファラザードが勝る。

「勝てますよ」

 私は予言した。ゼクレスには浮足立つわけがあった。
 ユシュカ王が出陣を宣言し、ファラザード軍が動いたその数日前、バルディアの会戦で痛手を受けたバルディスタ軍もまた電撃的に反攻作戦を開始していた。
 まず魔瘴弾を詰め込んだ砲兵部隊が森に魔弾の雨を降らせ、静かの森を地獄に変えた。
 あわてふためくゼクレス兵にヴァレリア率いるブラックアーマーが襲い掛かる。
 そこに、ユシュカより先行して出撃していたファラザードの特攻隊が到着する。
 期せずして両軍同時侵攻の形となった。バルディアの時とは逆に、バルディスタ・ファラザードの両軍をゼクレスが迎え撃つこととなる。

 ゼクレス魔導兵団も決して素人ではない。が、どれほど精強な兵団でも、この波状攻撃に耐えるのは難しい。
 すでにヴァレリア率いる少数精鋭部隊が外門を突破し、城攻めの最中だという。
 そこにユシュカ率いるファラザード本隊が到着したのだ。
 ゼクレスにとっては泣きっ面に蜂である。内も外も敵だらけとなり、あわや総崩れとなりかけている。こんな状況で、勢いに乗った軍勢を止められるものではない。

 ユシュカは囲みを蹴散らし、さらなる進軍を宣言した。
 私はやや後方からそれを追いつつ、イルーシャの護衛に専念する。
 ユシュカ王は進軍の前に一度だけ、私とイルーシャを振り向いた。

「ミラージュだったな。そいつを頼む。礼は弾むぞ」
「それは受け取れませんな」

 私は首を振った。

「受け取れば、私はあなたの兵ということになる。主はあくまで、イルーシャ殿」
「……ふうん」

 若き王は顎に手をあて、

「お前も色々、大変だな」

 と、見透かしたような顔で肩をすくめた。
 彼はアストルティアについて造詣が深い。そろそろ私が魔族でないことぐらいは察しているかもしれなかった。

「ま、どっちにしても頼むぜ」

 王の背中が遠ざかっていく。戦場へ。戦火の大地へ。
 イルーシャはそれを見送った。  イルーシャが私に頼んだのは、戦場での護衛役だった。彼女はどうしてもユシュカやあの従者殿の側にいたいというのだ。
 当然、誰もが止めた。私だって止めた。だが彼女の意志は固かった。

「一途というか、頑固というか、無謀というか…」
「どの言葉で呼んでくれてもいいわ」

 彼女ははっきりと言い放ったものだ。
 礼金として、彼女は魔仙卿から渡されたという金子を差し出したが、私は受け取りを固辞した。

「この前の取引では、花の名前を聞くだけにしては頂きすぎましたからね」
「でも……ただで守ってもらうなんて、悪いわ」
「ただほど高いものは無い、と言いますよ」

 私は肩をすくめた。
 元より死んでもらっては困るお方だ。彼女との縁は、深めておきたい。半分は打算。もう半分は、個人的に。

 ま、戦場に近い方が情勢を把握しやすい…とでも言えば、言い訳ぐらいにはなるだろう。
 少なくともそのおかげで私は、間違いなく魔界史に残る、重大な場面に立ち会うことができたのだから。

(続く)
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