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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2020-06-20 18:55:12.0 テーマ:その他

ガタラ防衛戦線異状なし(3)~なりきり冒険日誌

 カルサドラ火山から吹く渇いた風が、火山灰と共に私の背びれを撫で、ガタラの町並みを通り過ぎる。石造りの家屋は全体的に小ぶりで、派手さはないが質実剛健。ドワーフ族の確かな建築技術を物語っていた。
 その景色に、無骨なバリケードと矢盾が加わる。物々しい空気が、のどかな岳都に漂い始める。
 ガタラ防衛戦の準備は着々と進行していた。
 盗賊たちの力を借りて住民達を説得し、魔物達の動きを探り、何度かの小規模な襲撃から敵の侵攻ルートを予測。
 そして敵の最終目標地点と思われるのが…

「ここか」
「ええ」

 やや遅れて現地入りしてきたユナティ副団長は、その粗末な建物を目の当たりにして、顔をしかめた。

「なんということだ…! 既にここまでの被害が出ているとは…」

 半ば崩れ落ちたその家屋に駆け寄る。

「これではまるで…ガラクタの寄せ集めではないか!」
「…いえ、これは…」

 誤解を解くのに、やや時間が必要だった。  乱杭歯のように粗雑に組み合わされた木材。つぎはぎだらけの壁。柱は傾き、時計は止まり、欠けた歯車が不規則に並ぶ。壊れた木箱や崩れっぱなしの瓦礫がゴミ山のように重なり合い、住居として成り立つかどうか、ギリギリの状態の建築物。

「…いや、ギリギリアウトだろう、これは」

 副団長が呆れた吐息を漏らした。
 これぞガタラのガラクタ城。この街の名物であり、住民に言わせれば"汚点"である。

「むきゃーー!! もきぃーー!!」

 そして、その脇で奇声を上げているのが、今回、我々に立ちふさがった障壁…ガラクタ城の城主ダストン氏である。

「アンタ! アンタが責任者ですかっ!!」  ダストン氏は毬のように跳ねるとユナティ副団長に詰め寄った。ドワーフ離れした身のこなしだ。

「わしのステキな城をあんな…ぐももっ! で…もきぃーっ! なモノで取り囲むなんて…あぎゃぎゃっですよっ!!」
「…ミラージュ、通訳を頼む」
「外部委託します」

 私は彼の傍らに佇む執事に通訳を依頼した。執事ポツコンは丁寧に一礼し、こう語った。

「ダストンさまは防衛軍の設備が気に入らないんです」
「そうなのか?」

 副団長は身をかがめ、ドワーフ二人に顔を寄せた。

「どこかに不備が…? 是非意見を聞かせてほしい!」
「むきゃーっ!!」

 ダストンは飛び跳ねた。

「もうアレときたら…いかにも、もきぃっ! で…もう、あぎゃぎゃっ!ですよ!」
「はい、ダストンさま。機能的で無駄がなく、実用的ですよね」

 副団長は困惑の表情を浮かべた。
 …ここで解説せねばなるまい。ダストン氏は非常に独特の価値観を持った人物で、役に立たないガラクタばかりを収拾している。このガラクタ城も、彼に言わせれば宝の山なのだ。

「いーえっ! 宝なんてとんでもねえです! こいつは正真正銘、ガラクタの山ですよっ!」

 彼は恍惚とした表情で噛みあわない歯車を撫でまわし、穴の空いた桶に頬擦りした。役立たずほど愛おしい。そういう人物なのだ。

「それにひきかえ、外のアレは本当に…!」

 と、拳を震わせる。

「だいたいアンタも気に入らねえです! いかにも優秀そうで、役に立ちそうで…そんな奴に用はねえですよっ!」

 ユナティ副団長も怯まざるを得ない。実に厄介な人物である。

「だが…ここが魔物達に狙われているのだ。街を守るためにも、迎撃施設は作らねばならん」
「むぐぐ…わしのステキなガラクタを狙ってくるとは……ぐももっ!な魔物どもですよっ!」

 ダストンが地団駄を踏むとガラクタ城から埃が舞い降りた。
 …実際のところ、魔物が何故こんなあばら家を狙ってくるのか、当局もその意図を測りかねていた。

 一つ、可能性として考えられるのは、ダストン氏自身がターゲットというケースだ。
 彼はこう見えても昨年度のアストルティアナイトであり、ドルワームの名物男である。あのヒューザを倒した男なのだ。

「そして、それ以上に…」

 副団長が静かに指摘する。

「貴公にはかつてナドラガンド騒動の際、"蛇"の男から狙われたという実績もある。いわば国際的な重要人物だ」
「こ、コクサイ? 重要!? くきぃーーっ!! 勘弁してくだせえっ! またわしを監禁するつもりですかっ!!」

 ダストンは柱の陰に隠れて震え始めた。実際、彼を隔離しようという案もあったのだが結局上手くいかなかった。

「もう一つの可能性としては…」

 と、私は城の中に立ち入り、グルリと周囲を見渡した。
 居並ぶガラクタ。奇妙な彫刻の施された石柱、何らかの装置の残骸、かつて武具だったものの成れの果て…

「…このどれかが実は価値のある品物で、それを敵が狙っている、というケースですな」

 無数のガラクタが、一斉に目をそらしたように見えた。
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