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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2020-11-04 23:26:55.0 テーマ:その他

カオスの国の魔法戦士(5)~なりきり冒険日誌【※ver5.2に関する記述有り】

「まったく、いつからカウンターってのは飛び道具を防ぐためのモンになったのかねえ」

 "紹介人"ディーエがぶつくさ言いながら乱れた酒場の内装を整える。

「ほんと、ミゼリちゃんクタクタ」

 "看板娘"ミゼリは勢いよくソファに沈みこんだ。

「まあまあ、美味いもん食って元気だしなよ」

 "料理長"ウルミがテーブルに香り立つ皿を並べていく。

「今日はお客さんも来てるんだからさ」

 女たちが我々に視線を向けた。
 ここはバルディスタ中央広場にほど近い、ジャンビの酒場。
 窓は厚い板に覆われ、外には物々しいバリケードが立ち並んでいるが、店内の花はそれでも華やかさを失っていなかった。

 我々はあの戦闘の後、そのまま酒場へと案内された。馬は略奪に備え、鉄条網付きの厩舎に格納。
 売り物は半数近くが野盗どものエサになったが、なんとか商売ができる程度の量は残っていた。
 もっとも商売相手がいれば、の話だが。
 窓の隙間から外を窺うと。時折弓矢が飛び交うのが見える。また別の戦闘が発生しているようだ。
 一体、この街はどうなっているのか……

「見ての通りよ」

 私が説明を求めると、ジャンビは切れ長の瞳を伏せてため息をついた。  ヴァレリアの死後、軍幹部の多くが独立し、バルディスタは小勢力の入り乱れる戦乱の時代へと逆戻りした。
 次の王に名乗りを上げ、戦いに明け暮れる者、略奪を繰り返し野盗となり果てた者、ただ鬱憤を晴らす為に暴れる者……中にはこれを機に一旗揚げようと、わざわざ外から乗り込んできた勢力もある。
 まさに群雄割拠……と言えば聞こえはいいが、要するに無法地帯だ。

「月に一度は今みたいな騒ぎが起こる。私達はせめてこの店と近くの住民だけでも守りたくってね。ああやって戦ってるってわけさ」

 彼女は肩をすくめた。

「もっとも、今回は店には手出ししてこなかったから、黙ってようかと思ったけど」
「我々が面倒を持ち込んだわけだ」

 テーブルでは保護した少女が女たちに囲まれて頭を撫でられていた。とりあえず涙はおさまったらしいが、不安を隠せない様子だ。外はまだ騒がしい。折を見て家まで送る、と言っていた。

「アナタ達って、旅の人でしょ?」

 看板娘のミゼリがいつの間にか私の隣にすり寄っていた。リルリラがちょっと驚く。
 彼女はコケティッシュな仕草で身をくねらせ、私に微笑みかけた。幼げな顔だちが酒に赤らみ、妙に色っぽい。

「よその人が街の子供を守ってくれるんだもん。ミゼリ達も黙ってらんないよ」
「……街から逃げることは考えないのか?」

 酒を受けながら私が尋ねると、女達は顔を見合わせた。料理長のウルミが鍋をかき混ぜる手を止めて、ため息をついた。 「やっぱりここは、アタイらの街だからね……」

 酒場全体が、無言でうなずくのが分かった。
 私は複雑な表情を浮かべていたに違いない。魔族に扮してはいるが、私はヴェリナードに仕える身。バルディスタとは敵同士にあたる。
 だというのに、だ。
 私はこの酒場の人々を嫌いになれないでいる。実に……厄介なことだ。

「……けど、私達も結構苦しいのよね。せめてもうちょっと戦力があればねえ」 

 ジャンビは意味ありげな視線を店員達に向け、それから私の連れていた傭兵達に微笑んだ。

「アンタたち、この人との契約は"バルディスタまでの護衛"だったんだろ? つまり今はフリーってわけよね」
「ヘッドハンティングか」

 私は肩をすくめた。抜け目のない女将だ。女の将と書いて女将。洒落が効いている。

「ダメかい?」
「いや、彼らの判断に任せよう」

 女店員たちが早速交渉に向かった。手には酒、口もとには100万ゴールドの微笑み。百戦錬磨のエージェントだ。
 傭兵達はウルミのこさえた料理に舌鼓を打っていた。外堀は既に埋まっている。
 どうも旗色が悪いらしい。私は苦笑しつつジャンビに向き直った。
 
「……かわりと言っては何だが、もう少し状況を教えてくれ。軍は完全に崩壊したのか?」
「いや、ベルトロさんが残った兵士をなんとかまとめ上げてるよ。私達のことも支援してくれてる。ただ、この街のゴロツキはお上の命令ぐらいじゃ大人しくならなくてね」

 彼女は手にした鞭をぴしりとしならせた。

「言うこと聞かせるには、この鞭でお仕置きしてやらなきゃいけないのさ」

 妙にサディスティックな仕草で鞭を振るう。リルリラがポンと膝を打った。

「女王様が必要なんだね!」
「あの男どもを跪かせてやるのは、確かに一興だねえ」

 眼鏡に覆われた瞳が嗜虐的な笑みを浮かべる。ジャンビの肉感的かつスラリとした肢体が奇妙な色気を帯び、女たちはそんなジャンビに黄色い声を上げるのだった。

(続く)
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