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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2020-11-10 21:49:21.0 テーマ:その他

王なき都の戦士たち(2)~なりきり冒険日誌【※ver5.2に関する記述有り】

 また別の日のこと。
 街を歩いていた我々は意外な人物と再会した。
 いや、人物というべきかどうか。
 それはしずく型で、水色で、手足は無く、口は達者だった。

「猫の旦那、よくぞご無事で!」
「お前、無事だったのニャ!」

 猫魔道のニャルベルトに飛びついたのは、スライムのスライドだった。  彼はこの周辺を根城にしているアウトローで、か弱いふりをしてお人好しの旅人を欺き、日々の糧を得ている。そんなスライムである。
 以前バルディスタを訪れた時、我々も彼に騙され、ひと悶着あり、最終的にニャルベルトのメラガイアーが炸裂した。
 以来、彼はニャルベルトの舎弟のようにふるまっているのである。

「だが、意外だな」

 私は首をかしげた。
 彼は長いものに巻かれるタイプである。今のバルディスタは、彼を巻き取るほど長いだろうか?

「むしろ反旗を翻した勢力に取り入るかと思ってたぞ。確か今、一番勢いがあるのは……ギャノン兄弟、だったか」
「冗談じゃねえぜ!」

 彼は体積を2倍にして怒鳴った。スライムの身体は変幻自在である。 「アイツらがどんな奴らか、知らねえのか!」
「残虐非道、とか聞いたが……」

 彼は舌打ちしてそれどころじゃない、と言い放つ。なお、彼はあくまでニャルベルトの舎弟であって、私にはこういう態度である。

「奴ら、仲間だって平気で殺すんだぜ。それも裏切ったとかミスったとか、機嫌を損ねたとかじゃねえ。なんとなく、遊び感覚でやりやがる」
「反逆者の中では最大勢力と聞いたが……」
「力だけはな。だからついてく奴もいる。けど、ノーフューチャーだ」

 スライドにつき従う他のスライムたちもいっせいに頷く。

「だが仲間まで殺しては勢力を保てんだろうに……」
「何も考えちゃいねえのさ。ノリだよ。ノリだけでやるんだ、あいつら」

 スライムが唾を吐く。

「だいたいバルディスタ乗っ取りに成功しても、その後のことなんざ何も考えてねえんだからな。政治だ支配だなんて言葉、あいつらが知ってるハズがねえ」

 ノーフューチャーだ。もう一度彼は言った。
 どうも、噂以上の危険人物らしい。  「でも」

 と、リルリラがスライムの隣まで降りていく。

「ヴァレリアさんよりは弱いんでしょ?」
「そりゃあそうっスよ」

 スライドは頷く。以前からそうなのだが、何故かリルリラには敬語である。

「けど弱い奴ほど加減を知らねえっつーか……ヤバさは上っつーか……」
「わかる気はするな」

 私は頷いた。
 ヴァレリア程の圧倒的強者ならば、いくら加減をしても遅れは取るまい。また相手も一目でそれを感じ取る。ゆえに、事を荒立てずに済む。
 一方、中途半端に力を持った者は常に全力で敵を叩く。自分が倒されないために。
 結果、絶対強者以上に危険な存在となるのだ。
 誰が見ても別次元の力を持つ"氷の魔女"は実際、バルディアの救世主だったのかもしれない。

「しかし、それでも君らが街に残ってるのは意外だな。逃げだしたりはしないのか?」
「ここは俺たちの街だからな」

 スライムの身体が流線型に胸を張る。リルリラが飛びついた。

「かっこいい!」
「いやあ、それほどでも……」

 スライドの頬がスライムベスになった。スライムの身体は変幻自在である。
 私は彼の頭頂部をつまむと、顔を近づけた。

「……で、本音は?」
「ヴァレリアが死んだってのが信じられねえ」

 彼はキリと表情を固めた。

「フム……」

 私はあの大戦で、魔王ヴァレリアがゼクレスの魔人に挑み、その額から放たれた魔光に貫かれるのを確かに見た。
 だが遺体は発見されていない。市民の間でも生存説は根強い。ベルトロが裏でヴァレリア捜索を進めている、との噂もある。

「もし生きてりゃ、全てがひっくり返る。逃げた方がバカを見るぜ」
「根拠でもあるのか?」

 私はさらに顔を近づける。魔界情勢を探る私にとって、ヴァレリアの生死は最重要事項だ。
 スライドは私の顔に体当たりを喰らわせて着地すると、バルディスタ城を見上げた。

「最近、城に大物が出入りしてるのを見た奴がいるんだ」
「軍の高官か?」
「いや、国の者じゃねえ」
「他国の……?」

 私は怪訝な顔をしていたに違いない。スライドは続けた。

「噂じゃ、前の戦争でファラザードに雇われてた凄腕の戦士らしいぜ。一説によれば魔王と同じくらい強えぇとか……ま、そこは眉唾だけどな」
「……!!」

 私の脳裏に一人の冒険者の姿が浮かんだ。ファラザードの魔王ユシュカと共にゼクレスの魔人に立ち向かった、あの戦士……
 彼等の描いた鮮烈なる戦模様は、いまだ私の眼に焼き付いたままだった。

(続く)
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