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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2021-11-21 03:25:29.0 テーマ:その他

めぐる記憶、そして(3)~なりきり冒険日誌【注:ver5ストーリーに関する記述有】

 今のエテーネの村は、若い村だ。
 かつて栄えたエテーネの村はもう無い。突如として襲撃した魔族の軍勢により破壊しつくされたのだ。
 生き残ったのはシンイと、もう二人の村人だけだったと聞く。彼らは数々の戦いを必死で生き抜き、歯を食いしばり、世界中から住民を集めて新たなエテーネの村を創り上げたのである。
 シンイにとって魔族は友の、家族の、村の全ての仇であり、憎むべき敵だった。
 勇者姫が魔族との共闘を選んだ時、彼は声を荒げることこそなかったが、その時彼が見せた表情は忘れようのないものだった。  そんな彼が村を上げて魔王ユシュカを歓待し、しかも恨み言の一つも言わなかった。
 私は知りたかったのだ。その意味を。
 彼が何を思い、何を決断したのかを。
 シンイは……しばらく沈黙を貫いた。私は兜の影の奥に、大魔王城で見たのと同じ暗く熱い炎を見た。
 彼は一歩足をずらし、木陰の外に出た。陽光が肉体を刺し、影は色濃く地に伸びた。兜飾りが角のようにピンと立つ。無言の小鬼が地からこちらを見上げるかのようだった。
 そして彼は、悲しげに笑った。

「単なる意地でしょう。ただ負けたくなかったのですよ、私は」

 消えることのない業火を、彼は微笑で上書きした。鬼は瞳を閉じたまま、まぶたの裏を焼き続ける。

「臆病とお思いですか?」

 彼は私に問いかけた。私は少しためらってから答えた。

「敬服いたします」

 彼の決断は、全く英雄的なものではない。
 だが考えてもみるがいい。世界に生きる者全てが英雄だったなら、それは悪夢だろう。
 私は改めて、彼に一礼した。

「ミラージュさんにそう言ってもらえるのは、嬉しいことですね」

 はにかむように彼は笑った。
 私は首をかしげた。
 彼と会うのは大魔王城に続いてこれが二度目である。長い付き合いとは言えない。
 にもかかわらず……彼の口ぶりは、まるで昔から私を知っているかのようだった。

 シンイの柔和な瞳がこちらを向き、そして陽光を跳ね返して輝いた。
 私は一瞬、立ち眩みを起こしたようだった。
 そして不意に、懐かしい男の気配を感じた。  素顔を覆い隠す特徴的な旅人帽。身にまとうのは紫の外套と、"黒渦"のような謎めいた空気。

『お前は……』

 私は彼の名を呼ぼうとして、声が出せなかった。
 立ち眩みがおさまると、もう気配は無い。目の前に現れたと思った男の顔は、シンイのそれに変わっていた。 「これからどうします?」

 村の子供たちが足元を通っていった。私は首を振り、幻影を追い払った。

「女神救出、邪神との戦い……一介の魔法戦士にはもはや手の出せない世界です。が、勇者ならぬ身にもできることはありましょう。できることをやりますよ」
「ご立派です」

 シンイは微笑んだ。
 その時であった。
 突然、目の前が白い光に包まれ、続いて声が響いたのだ。  それは限りなく深く、透明で、しかし確かな質量を持って耳に響いた。
 いや、耳ではない。脳に、意識そのものに働きかけるような声だった。
 私は思わず天を仰いだ。追いかけっこをしていた子供たちも足を止めた。シンイは無意識に聖印を握り締めた。
 そして声は、我々にこう呼びかけたのだ。

『聞け、アストルティアの子らよ』

 それが女神ルティアナその人の声だと知ったのは、ずっと後のことである。

(続く)
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