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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

2D動画 静止画
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ミラージュの冒険日誌

2022-01-22 22:58:53.0 テーマ:その他

海賊と冬の陽炎(13)~なりきり冒険日誌【※海賊クエストに関するネタバレあり】

「これは……どういうことだ?」

 彼奴の瞳は魔瘴の鈍い輝きを帯び、肉体は変化を始めていた。精神が肉体を侵食するかのように……憎悪と殺意に満ちた魔獣へと。
 いつの間にか像は彼の胸へと埋め込まれ、律動を開始する。
 ……呪われた財宝、ということか?

「しかも宿しているのは、邪神の力、らしい」
「クッ!」

 私は突きつけた剣を振るった。だが弾かれる。
 ゲーダム……いや、ゲーダムであったモノは、おぞましい雄叫びをあげた。
 体液を口から滴らせ、興奮のままに叫び続ける。地下水脈が騒めき、水竜巻が巻き起こる。

「海賊は皆殺しだ! それを邪魔する偽善者共も同罪だ!」
「そこまで堕ちたか」

 私は剣を支えに立ち上がった。

「もはや魔法戦士団として、捨て置くわけにはいかん」
「だから魔法戦士だけで戦う、なんて言わないどくれよ」

 フレンジーが私の隣に並んだ。

「こんな奴に海の支配者を名乗られちゃ、商売あがったりだからね。そうだろ、船長!」

 船長の反応には、一瞬の遅れがあった。
 まだ、逡巡があるのだろうか。海賊が……自分が生んでしまったかもしれない怪物と対峙することに。
 だとしたら、ナイーブにもほどがある!
 が、しかし。

「フレンジー、ミラージュ」

 彼は静かに、力強く言った。振り返り、私は理解した。彼が遅れたのは迷いのせいではない。
 準備が必要だったのだ。

「……オレに合わせろ!」

 カノン砲を地面に設置し、眼帯を脱ぎ捨てる。
 強く輝く瞳があった。

 * * *

 怨讐の化身と化したゲーダムとの戦闘は、短くも激しいものだった。
 水竜巻を縫って私とフレンジー、それにもう一人の海賊が攻撃を仕掛ける。その全てが弾かれる。
 追撃に出る魔獣の剛腕を、爆炎で阻むのはニャルベルト。火球呪文と水竜巻の衝突が水蒸気の嵐を呼び、その隙にリルリラが治癒の呪文で唱える。
 そして白い煙が消えた頃、傷の癒えた私とフレンジー、海賊らが再び斬りかかる。

「即席にしては、悪くない連携じゃないか」

 フレンジーが笑みを浮かべた。
 だが魔瘴に包まれたゲーダムの肉体は強靭だった。仮初とはいえ、邪神の力。何度攻撃を繰り返しても致命傷には程遠い。
 それは最初から分かっていた。
 だから、この攻撃は囮だった。

 繰り広げられる攻防の間、マドロック船長は微動だにせず狙撃態勢をとり続けていた。
 剣と魔獣、火球と竜巻、憎悪と咆哮。それら全てが交差し、重なり合い、弾け飛ぶ。混沌の戦場に一瞬の隙を待ち続けた。
 そして錯綜する全ての影が少しずつ位置をずらし、マドロックの手元から魔獣の胸元、邪神像の埋め込まれた急所へと続く一筋のラインが開かれる。一瞬の好機。
 その一瞬を、彼は逃がさなかった。

「今だ!」

 マドロックの左目が輝く。  カノン砲が火を噴いた。熱。轟音。衝撃。そしてガラスの砕けるような、破裂音。
 断末魔。
 そして全てが沈黙した。

 * * *

「……恐れ入った……」

 私は素直に称賛した。
 まさかカノン砲で、針の穴を通す精密射撃をやってのけるとは。
 覇気のないところばかりが目立っていたが、やはりただ者ではなかったらしい。
 リルリラが怪我人の手当てにあたる。幸い、皆無事のようだ。

「フッ……左目の力を使ってしまったか」

 眼帯を付け直しながらマドロック船長は嘯く。

「この力は強すぎる……使いたくはなかったぜ」

 ……どうやら自分の世界に入ってしまったらしい。副船長は困ったような笑みと共に視線を泳がせ、私は聞かなかったことにした。
 ともあれ、ゲーダムだ。
 秘宝の影響を逃れたゲーダムは、元のウェディに戻っていた。
 元に……そう、元に戻った。
 すなわち……

「何故、貴様らのような連中が許される……!」

 魔獣ではなく人として海賊を憎むゲーダムに、ただ戻っただけだった。
 もはや立つ気力すら失っていたが、その瞳に宿した憎悪の炎は消えていなかった。

「俺は弟を殺されて、ただ下を向いて諦めるしかないのかッ!」

 涙すら流した。その言い分は、これまでに接した何人かの犯罪者とそっくりだった。
 私の口から寂寞の吐息が溢れる。
 なぜ人は、自分を被害者の側に置いた途端、こうなってしまうのだろう。
 人は自分の正しい部分だけを言葉にして、それ以外のことには盲目になることができるのだ。
 その鈍感さは、許せないと思った。
 ゲーダムが嗚咽を漏らす。悲劇のヒーローのように。私の拳が震えるのは……冬のせいだ。

「ピードは帰ってこなかった。あいつは……」
「ちょっと待て!ピードだと!?」

 マドロック船長が素っ頓狂な声を上げる。
 そこから先は、急展開となった。
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