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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2024-07-07 01:26:33.0 テーマ:その他

星空の守り人(17_完)【なりきり冒険日誌※ver6.5までのストーリー記述あり】

 夜風に乗って、軽やかな笛の音と、どこか不可思議な太鼓の拍子が耳に届く。浴衣姿の男女が連れ立って石畳の上を歩いていく。香具師の口上、露店の数々。提灯の明かりが行き交う人々の影を躍らせれば、祭囃子が調子を上げる。
 祭りの夜。夜露の香りと雑踏に包まれて、明るくも暗い奇妙な時間が流れていく。空を見上げれば、宝石箱から零れ落ちたような星々が夜を美しく彩っていた。

「あっ、それくださ~い」

 リルリラが狐の面を一つ買い、額に重ねて悪戯っぽく笑った。古来より祭は神を祀るもの、そして神が降り来たる場所と信じられてきた。闇の中、浴衣を着こみ、お面を被れば神も人もわからない。神は人に紛れ、人は神に紛れ、共に笑い、踊る。提灯の明かりに揺れる影は、神と人の混ざり合う領域の象徴なのだ。
 その意味で、今夜はまさに祭りの夜だった。
 今、この里には人間やエルフに扮した天使が、何人も混ざっているのだから。  地上の査察という名目で、夏祭りへの参加を提案したのは審判の天使フェディーラだった。彼女は気落ちする同胞を元気づけるため、日々料理を振舞い、お茶会を催し、精力的に活動している。これもその一環というわけだ。

「星が奇麗ですわね~」
「エルトナでは天の川っていうんですよ」

 リルリラが物知り顔に答える。川辺ではニャルベルトが横になり、星空を映す水の流れを楽しんでいた。隣にはクリュトス。露天商と客達のやりとりを興味深げに観察している。いささか怪しい安物の髪飾りに手を伸ばそうとしているのは天使兵のハルルートだ。
 その中に仏頂面を浮かべた男が一人。カンティスである。

「まったく、祭りなんぞ俺は行かんと言ったのに、フェディーラの奴め……」

 そう言いながらも、しっかりと着こなしたスライム柄の浴衣が彼の本心だろう。私は苦笑しつつその隣に立った。橋の向こうでは行燈の光に照らされて、人と天使が笑顔を分け合っていた。
 この場にいる誰もがそれぞれ違う立場を持ち、違う悩みを持つ。だが今夜だけは無礼講。闇に紛れて影が躍る。不慣れな舞も溶け込んでしまえば景色の一部だ。カンティスはしみじみとそれを見守っていた。小川のせせらぎが夜風に乗って静かな和音を奏でる。私は腰に手を当て、うちわを扇いだ。

「少なくとも、この光景を守ることができたわけだ」
「……まあな」  どこから紛れ込んだのか、カンティスの足元にスライムがすり寄っていた。だらしなく緩んだ頬を慌てて取り繕い、咳払い一つ。クスッと笑う声が聞こえた。フェディーラがいつの間にか後ろに立っていた。

「毎年、お祭りに参加するのもいいかもしれませんわね。もちろん査察の為に」
「査察が必要なことは認める」

 カンティスが真面目ぶって腕を組んだ。スライムが寄り添う。クリュトスが堪え切れず吹き出した。カンティスは再び咳払い。

「神都がどんな針路を取るにせよ、地上を知らねば話にならん。世界と……あの星空を守る為にも、な」
「星空の守り人、か」

 私は空を見上げた。乳白色に輝く天の川を。
 フォーリオン以前の時代、天使とは星となって人々を見守る神秘的な存在だったという。今の天使達は新天地への移住の際、その姿を模して創造された種族なのだ。
 我々が勇者の伝説を子守歌に育つように、彼らもまた星空の守り人伝説を聞いて育つ。いわば天使にとって究極の目標のようなもの、らしい。

「それで、星になれたのか?」
「そんなに都合良くいくものか。俺達はただ、ジタバタしただけだ。みっともなく、汗まみれでな」
「でも」

 と、リルリラが振り向いた。

「あの壁を作ってる時のフェディーラ様達、カッコよかったですよ! なんか天使!って感じで」

 フェディーラが微笑み、クリュトスが照れくさそうに頭をかく。カンティスはため息と共に首を振った。

「カッコいいのは一瞬。過ぎ去れば、また地を這う日々だ」
「でも、とりあえずは」

 エルフは私に目配せした。

「そうだな」

 私は飲み物を露店から調達し、天使達に手渡した。猫もスライムも寄ってきた。
 ゴールのように見えた場所も結局は通過点。明日も明後日も鐘は鳴る。それでもとりあえずは。

「とりあえずは、お疲れ様!」

 星空に杯を突き上げ、笑顔を交わす。祝杯に天使達が集まり、つられて集まった地上人も巻き込んで酒宴が始まる。祭囃子が夜風に乗って、人々の間を流れていった。

「ほら、ミラージュ」

 リルリラが綿菓子を差し出した。大きく膨らんだそれを舐め取ると、雲のように糸を引いて消えていく。ふと、私はリナーシェ様の瞳を思い出した。
 リルリラが悪戯っぽく笑う。私も笑った。
 雲散霧消。星は流れる。
 残ったのは舌の奥に絡み付くザラついた砂糖の感覚と、甘すぎる後味だけだった。 (この項、了)
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