今回は坂本龍一の数ある名曲から何を弾くか本当に迷いましたが、参加者には全く詳しくない人もいると思ったので、まずは基本を抑えた2曲を選びました。
YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)とは?
ビートルズを始めとして最先端の音楽を輸入する一方だった状況を変えるべく、日本から世界へ発信していこうと高い志を掲げて結成された伝説的テクノ音楽グループです。
細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一は3人それぞれソロでもやっていける優れた音楽性を持ったドリームチームでした。
現在は2人が亡くなり存命なのは細野晴臣だけとなってしまいましたが、後進のミュージシャンに与えた影響は計り知れないものがあります。
① 東風 上野聖矢 6:26
東風はYMOのファーストアルバムに収録された、グループのテーマ曲とも言える名曲です。
「東方より世界へ風を巻き起こす」という意気込みを感じます。
何度も坂本龍一自身がアレンジしていて、インストゥルメンタルとしては異例の大ヒットとなったピアノアルバム『BTTB』の演奏も素晴らしいのですが、今回はみなさんに「風」を感じてもらいたいのでフルートメインの動画にしました。
聖矢、という名前がどこかホスト風のチャラい人をイメージしますが、演奏技術は確かなものです。
2:10からの演奏はよく息が続くと思いますね~
4:30で一旦風が止み5:40で再び強風が吹き荒れます。
一度解散して一時的に復活したYMOそのものを連想させる構成でした。
② 千のナイフ かてぃん 3:52
こちらはYMOではなく坂本龍一ソロデビューアルバムに収録された一曲です。
(のちにYMOにもセルフカバーされた)
この曲は特にプロのミュージシャンから評価が高く、今聴いてもその先進性は錆びついていません。
原曲はロボットボイスによる毛沢東の詩の朗読もあり9分以上もかかるので、このイベントでは使いにくいと思っていたのですが神アレンジを発見しました。
ええ、困った時のかてぃんさんです(笑)
いやーこの人の動画は外れがありませんね。
どれを聴いても素晴らしい。
千のナイフでは途中でシンセサイザーも駆使して不思議な音楽世界に誘います。
2:40から右手一本の演奏でも魅せてくれます。
演奏の締めも超クール!
あまりにもカッコ良過ぎて嫉妬しますねw
③ 矢野顕子 ひとつだけ
さとがえるコンサート 5:18
つい最近まで私がこの曲の歌パフォをしていたのは、酒場ピアノで弾き語りパフォをするためでした。
イスに座って吹き出しを出すだけですが、いくらかライブ感を演出できたかなと思います。
さてこの曲は矢野顕子の歌・作曲ですが、編曲は坂本龍一が手がけています。
私のような坂本龍一ファンが聴けば曲の随所に特有の音を感じます。
2人は82年に結婚(共に再婚)してから坂本龍一の度重なる不倫もあり、2006年に離婚しましたが親交は続いていました。
この曲を歌い続けている事から音楽性の面ではお互いに尊重していたのだと思います。
歌詞の「あなた」が誰なのかはわかりませんが(かつてライブで共演していた忌野清志郎の説が有力)坂本龍一でもあるのかなと思うと胸にジーンとくるものがあります。
1:20あたりで涙ぐんで歌うのですが、もらい泣きしそうです。
「ねえおねがい」と同じフレーズを繰り返す事で一途な想いは深まっていきます。
あとよかったら酒場ピアノの事も忘れないでいてください(笑)
④ JAPAN HOUSE CHAGA DE SAUDADE 5:26
本来私は3曲で終わる予定でしたが、やはり坂本龍一本人の演奏で締めたかったので追加で1曲お願いしました。
坂本龍一が最も尊敬し憧れていたブラジルの大作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン。
ジョビンは1994年に亡くなりましたが、坂本龍一はその想いを引き継いでジョビンと親交が深かったモレレンバウム夫妻と共にトリビュートアルバムを発表しました。
『想いあふれて』の日本語タイトルで知られるとても美しい名曲ですが、日本語の歌詞を読むとめちゃくちゃ女々しい男の歌なのだとわかりますw
「もどってきてくれ!もう一度やり直そう!」
「そしたら一日中でもキスしてあげるのに!」
などと美しいどころか若干キモいぐらいですが、このあふれる想い少しわかる気がします。
私が大好きな音楽家、坂本龍一はもうこの世にはいません。
もう新曲が生まれることもありません。
できる事ならあと10年20年と作曲を続けて欲しかった・・・
しかし坂本龍一がジョビンの魂を受け継いだように、今回私が選曲した動画の上野星矢や角野隼斗のような若いミュージシャン達が坂本龍一の魂を受け継いでいってくれるでしょう。
世界中で誰かが演奏し続ける限り、真に偉大な音楽家は死ぬことがないのです。