アストルティアのとある場所。
ダルシム「マスター」
がんだい「む」
ダルシム「マスター、話がある」
がんだい「・・なんだ?」
唐突に呼び止められたコイツは、とある伸び縮みする肉体を持った格闘家の名前を冠した仲間モンスター・ダルシムである。
ダルシム「あ・・断っておくが、マスターに対して私の強さの底上げに関する事で呼び止めたのではない、あしからず」
がんだい「え?違うのか?」
コイツは俺の仲間モンスターの中でも古参に位置する立場のモンスターで、てっきり新しく増えた仲間の兼ね合いで連れて行く機会が減った事に関する苦情か何かだと思ったが・・
ダルシム「うむ・・どうも私は他の奴らのように自分の強さには執着しない質でな」
がんだい「ああ、俺もてっきりそのことかと思ったが」
ダルシム「違うのだマスター・・私がマスターに言いたいのは・・我々の名前に関してな・・」
がんだい「名前?」
ダルシム「うむ・・実は常々聞きたかったのだが、マスターは我々の名前を他の『ゲーム』に登場する格闘家から付けているのであろう?」
がんだい「そ・・そうだが(またえらくメタな質問をしてくるな)」
ダルシム「私は知っているのだ」
がんだい「な・・何が?」
ダルシム「前にマスターとよく冒険に出ていたスライム、あれは元々違う名前であったろう?」
がんだい「(ギクッ)」
ダルシム「仲間モンスターの名前の法則性が崩れてしまう為に急遽付け直したのであろう?」
がんだい「(ギクギクッ)」
やめてくれ!そんな俺にとっては微妙に恥ずかしい失態をバラさないでくれ!
ダルシム「更に・・マスターは元々、格闘家縛りで付ける気は更々無く、本当はウルトラ怪獣の名前にでもしようと考えていただろう」
がんだい「だ・・だから何でお前はそんなメタな話を俺に振るんだ・・」
ダルシム「その法則性で言えば、私には最初バルタンという名前を考えていたようだが・・」
・・キミ、俺の思考の過去の恥ずかしい所を地味にエグってくるね・・
がんだい「・・もはや昔の話だから何も言い返せないが、確かにそんな事を考えていた時もあった。だが別にいいだろう?今の名付けも俺としては上手くいったと思ってるし」
ダルシム「うむ、そのことに関して私も別にマスターを責めている訳ではない」
何だ?だとしたら何が言いたいんだ?
ダルシム「私が言いたいのは、マスターは我々仲間モンスターに対して、それぞれにCVを密かに付けて悦に入っている事に関して」
がんだい「わー!わーわー!」
ダルシム「私のCVは西村知道とか・・」
がんだい「ちょ!ちょっと止めて!」
ダルシム「マスターがそういった物事が好きなのは解るが、私たちに心の中でCVを付けて脳内再生をする癖・・少し控えた方が良いと思うぞ?」
がんだい「だからそういうメタな発言で俺を辱めるの止めろってば(涙)」
だあっ!くそ・・俺のひた隠しにしていた癖が・・まさか仲間モンスターに暴露されるとは・・
ダルシム「あげく自分にもちゃっかりCVを付け」
がんだい「止めて!止めて止めて!」
こ・・これ以上コイツに喋らせると、俺の恥ずかしい秘密が更に露見してしまう!
がんだい「つ、次の冒険にはお前も連れて行く機会を増やそうと思う!だから今日の所はここまでな!」
ダルシム「マスター、だから私は別に・・」
がんだい「とにかく!また後でな!」
俺は赤面した顔を隠しながら(元々赤い鎧だが)、急いでその場を後にしようと・・
ダルシム「マスターのCVを杉田智和に設定するのはいかんせん盛りすぎだと」
がんだい「だから止めろって!」
後ろから聞こえてきた爆弾に抗議の声を上げつつ、俺は逃げ出した。
・・だって、メインストーリーにCVが付いたから仲間モンスターも喋ったら面白いかな〜なんて、完全に俺の趣味の話だもんな。
ある意味これまでの仲間モンスターから受けた陳情の数々よりも、1番冷や汗をかく話をされた俺だった。