アストルティアのとある迷宮。
俺はある人物に対して頭を下げていた。
がんだい「お願いします!トルネコさん!」
トルネコ「がんだいさん、顔を上げて下さい」
久しぶりに迷宮でトルネコさんに出会えた俺は、なりふり構わず頭を下げた。
トルネコ「困りましたな・・これは規則なのですよ」
がんだい「そこをどうか!トルネコさんの商品を複数買わせて下さい!」
・・なりふり構わない、見事な土下座を披露した。
トルネコ「う〜ん、私としても沢山商品を買って頂けるのは非常に嬉しいのですが、他にも私と出会った方の為に用意している商品もあるので、商人の義務として、どなたか1人を優遇するのはあってはならない行為なのですよ」
がんだい「・・ダメ・・ですか・・」
これまで、何度となくトルネコさんに頼んできた俺だが、やはり今日もいい返事を貰う事は出来なかった。
トルネコ「がんだいさんがいいお客様なのは私も存じております。ですががんだいさんと同じように、私には他のお客様も大切なお客様なのですよ」
解っている・・トルネコさんが迷宮での冒険者たちとの出会いを大事にしているということを。
がんだい「スイマセンでした・・ワガママを言って」
トルネコ「はっはっは、構いませんよ。がんだいさんとも長い付き合いじゃないですか」
トルネコさんの優しい言葉に安堵する俺だった。
トルネコ「・・とは言え、あまりお客様をないがしろにするのも商人としては愚策ですな・・」
がんだい「?」
トルネコ「とりあえずがんだいさん、今日の所はこれで、またお会いしましょう」
がんだい「はい」
そうしてトルネコさんと別れた俺だったが、その日、複数回潜った迷宮で・・都合4回もトルネコさんに出会う事となった。
がんだい「(ひょっとして、少しだけサービスしてくれた?)」
トルネコさんとの商談のあと、久しぶりに会った彼女からその事を聞かされた。
ミネア「はい、実はトルネコさんから・・がんだいさんが寂しがっているので久しぶりに会われては?と、言われまして」
がんだい「トルネコさん・・」
そんなトルネコさんの優しさに、俺は心の中で感謝を述べる。
ミネア「ええ、確かカンダタさんにも声をかけていましたよ、がんだいさんは寂しがり屋なので、是非もっと会ってあげて下さいと。テリーさんは見つからなかったので声はかけられなかったみたいですけど」
がんだい「えっ!」
・・そういや今日、カンダタにも沢山会う・・
ミネア「カンダタさんも人のいい方ですから、喜んで承諾して下さいましたよ」
がんだい「あ・・ハハ・・」
ミネア「私も姉を探すのに忙しいのでなかなかお目にかかるのは難しいのですが、カンダタさんならがんだいさんの寂しさも解消して下さると思います」
そう言って満面の笑みを浮かべるミネア。
なんか微妙な気分のままに迷宮を後にした俺、そして次に入った迷宮にて。
カンダタ「よう!また会ったながんだい」
がんだい「・・・・」
カンダタ「お前、寂しがり屋なんだってな!俺様も暇じゃないんだが、そういう事ならもう少しお前に会う時間を増やしてやってもいいぜ、ガハハッ!」
・・何をどこで間違えた?俺。