アストルティアのとある場所。
がんだい「むう・・」
ハオウマル「なんじゃい、シケたツラァしとるの」
俺はハッと気づく。
がんだい「お前か・・」
ハオウマル「ガッハッハ!随分と辛気臭い顔をしとるもんでの、つい声をかけてしもうたわい」
コイツの名はハオウマル。
とある時代劇風格闘ゲームのキャラの名を冠した俺の仲間モンスターの1人だ。
がんだい「辛気臭いは余計だ」
ハオウマル「で?な〜にを考えとるんじゃ、がんだい殿」
がんだい「・・装備がな」
ハオウマル「ん?」
がんだい「お前たちが使う装備がな・・」
ハオウマル「装備が・・どうしたんじゃ?」
がんだい「例えばお前の使っている武器、オノだろ?」
ハオウマル「おう!ワシの得物はコイツじゃあの」
がんだい「そう、お前はオノ使いだ。それはそれで都合がいい。なんせ俺の本職はオノ戦士だからな」
ハオウマル「ふむ」
がんだい「お前の装備は俺の装備を並行して使用できる、だが他のヤツの装備がな、どうしても用意するには限界がある」
そうなのだ、最近増えに増えまくった俺の仲間モンスターにあてがう装備・・それは間違いなく俺のアイテム袋や倉庫を圧迫している。
戦士や遊び人に使える装備を纏えるモンスターならありがたいが、普段使わない装備しか纏う事ができない仲間モンスター・・これには少し困っていた。
ハオウマル「なるほどのう」
がんだい「戦士やそれに追随する近接的な職の装備なら俺も用意したいが、魔法使いや賢者といった、肉体派でない職の装備はな・・俺も使わないし・・」
ハオウマル「なんじゃ、ちゅーことは後悔しとるんか?装備が併用できない仲間をスカウトしたことを」
がんだい「そういう訳では・・」
ハオウマル「ま、ワシはがんだい殿と装備を共有できるんで、なんの不自由もないがの」
そう、みんながみんなコイツのように装備を併用できる訳ではない。
買う事はあまり考えていないが、敵から貰う装備とて、アイテム欄を圧迫することには変わりない。
ハオウマル「装備と言えば・・がんだい殿はやたらとハイカラな服ばかり揃えておるのう」
がんだい「うっ・・」
ハオウマル「ワシが言う事でもないと思うがの、ほれ・・しょっぷなるもので購入した、あの実用性のない派手な服の数々・・あれを整理すればいいんでないかの?」
がんだい「そ・・それは・・」
ハオウマル「例えばこれ・・なんじゃ?女物の肌着など・・」
がんだい「それはダメ!シュメリアブラウス!・・一応色塗って男でも着られるようにしてるし」
ハオウマル「これは・・なんじゃ?ももんじゃの被り物・・?」
がんだい「それもダメだって!エージェントマスクと合わせるといいドレアになるんだからな!」
ハオウマル「やたらと和風の鎧や着物が多い気がするの」
がんだい「これらはもっとダメ!和のドレア大好きなんだからな!」
・・・・・・・
ハオウマル「なあ、がんだい殿」
がんだい「な・・なんだよ」
ハオウマル「そもそもワシらの装備が用意できんっちゅーのは、オヌシの無駄遣いが過ぎるせいではないのかの・・?」
がんだい「む・・無駄じゃない!みんなちゃんと着てるし!」
ハオウマル「・・ハァ・・ワシらとしちゃ、着る装備よりも『使える』装備を集めて欲しいもんじゃがの・・」
そう言うと、呆れたようにハオウマルは去っていった。
がんだい「・・無駄・・かなあ・・」
俺の声は虚しく虚空へと消えていった・・