アストルティアのとある場所。
ギース「・・あのう」
がんだい「おわっ!びっくりした!」
後ろから音もなくいきなり声をかけてきた。
ギース「すいません・・すいません・・いきなり声をかけてすいません」
がんだい「いや・・いいけど」
ギース「本当にすいません」
なんか妙に腰が低い彼の名はギース、どっかの外国の街を裏で支配する格闘家の名を冠した俺の仲間モンスターだ。
がんだい「突然どうした?」
ギース「・・やはりいきなりマスターに声をかけるなんて恐れ多いですよね、すいません帰ります」
がんだい「ちょーっと待った!別に気にしてないから」
いきなり声をかけて、いきなり帰ろうとする彼を慌てて引き止める。
ギース「ほ・・本当に気にされてないんですか?」
がんだい「ああ、少しだけ驚いただけだから」
ギース「ああ〜やはり驚かせてしまったんですね・・すいません影が薄くて・・」
がんだい「いや・・だから気にしてないから、とにかくどういう用なんだ?」
あまり気にしたそぶりを見せると話が進まなそうだから俺は話を促す。
ギース「・・はい、では・・マスター」
がんだい「おう」
ギース「・・・やはりいきなりは図々しいですよね、考えてみると失礼にも程があった・・すいません帰ります」
がんだい「おーい!だからそんな帰ろうとしなくていいから!」
ギース「・・そうでしょうか・・?」
がんだい「ああ、ここまで来て帰られた方が逆に気になるというか」
ギース「そ・・そうですよね、わざわざマスターに時間を取らせておいて・・私というヤツはなんて失礼なヤツなんでしょう」
がんだい「そう思うのならとにかく要件を話してくれ」
ギース「はい・・」
本当に話が進まん。
そんな卑屈にならなくてもいいと思うのだが、彼の性分だろうか?
ギース「マスターは・・私を・・」
がんだい「うん」
ギース「その・・いつ・・」
がんだい「うん」
ギース「連れて・・・・ああっ!やっぱりこんな事をマスターに直接言うなんて・・私はなんて浅ましいんだ・・」
がんだい「ええと・・つまりお前をいつ連れていくか・・って事?」
ギース「すいません・・大した実力も無いのに・・まだ転生すらしてないのに・・強い武器も使えないのに・・そんな私がマスターと肩を並べたいなど・・本当に図々しい話ですよね・・すいません・・すいません・・」
がんだい「いや、とにかくお前を連れていかないと強くできないし、そんなに卑下することないから」
ギース「・・すいません、今日はやはり帰ります・・やっぱり私なんかマスターと話をするなんてまだまだ早かったんだ・・」
と、言うとスーッと影のようにその場を去ってしまった。
がんだい「・・あまり強引だったり、したたかなヤツも考えモンだけど、奥手すぎるのも問題だよな・、」
俺は密かに彼を少しずつ鍛えていこうと決意する。
妙に他のモンスターよりも育成に前向きになったのは、果たして彼の狙い通りだったのか、はたまた・・?