アストルティアのとある場所。
ハオウマル「うぃ〜〜・・酒が旨いのう」
がんだい「ご機嫌だな」
ハオウマル「おう、がんだい殿!これが飲まずにおられるか・・」
がんだい「どうしたんだ?」
ハオウマル「カッカッカ。どうやらがんだい殿には礼を言わねばなるまいの」
そう言うとハオウマルは嬉しそうに話し出す。
ハオウマル「ようやくワシも自分の限界まで強くなったようじゃの」
がんだい「ああ、そういえばそうだったな」
最近の俺の討伐に付いてきた仲間モンスターたち、ハオウマルも今日ようやく限界まで力を付けたのだった。
ハオウマル「まさかワシもこれほど早くここまで強くなれるとはのう」
がんだい「お前は・・強くなった後はどうするんだ?」
ハオウマル「ワシはのう・・」
そう言うとドッカリとその場に座り込んだ。
ハオウマル「な〜んも変わらん。強くなってもワシはワシじゃ・・風の吹くまま気の向くままの、その日暮らしよ」
がんだい「そうか・・」
強くなっても変わらない・・そんなヤツもいるんだな。
我の強い仲間モンスターも多い中で、こういうヤツは逆に珍しい。
ハオウマル「じゃが、がんだい殿はまだまだこんなもんではないのう?」
がんだい「いや・・俺ももういい歳だし、自分の限界も知ってるつもりだよ」
ハオウマル「カカカ・・そう言う割には最近色んな事に手を出してるようじゃがの」
がんだい「!?・・知ってるのか」
ハオウマル「うむ・・今までは他の者たちとの付き合いも希薄であった。だが最近のがんだい殿は色んな者達との交流の場を持ち、まるで自分がどこまでやれるか試しておるようじゃ」
確かに最近の俺は、1年前の自分と比べると信じられないくらいの人との繋がりを感じる。
ハオウマル「それも・・強さを得る・・という事ではないかの」
がんだい「強さ・・」
ハオウマル「1人ではどこまで行けるかなど限られておる、だが繋がる者達が増えれば増えるほど、伸ばす手も踏み出す足も増えていくものよ」
よく解らないが・・それが強さ・・なのだろうか。
ハオウマル「がんだい殿に出会えたワシが、強くなったのもいい例じゃろ?」
がんだい「なるほどな・・」
ハオウマル「カカ・・。さ、今日はせっかくの祝いじゃ、パーッといこうではないか!」
がんだい「お・・おう」
そう言って互いに盃を交わす。
ハオウマル「今宵は旨い酒になりそうじゃ」
がんだい「むう」
ハオウマル「・・これからのがんだい殿の成長と、ワシが強くなれたことへの祝いの意味を込めて・・」
俺は・・本質的に強くなれたのかどうか解らない・・だがコイツの言う通りなら・・少しは前に進めているのだろうか・・
がんだい「答えは・・これから見えてくるのかも・・な」
ハオウマル「カカ」
何だかとても・・染みる酒だ。