アストルティアのとある場所。
私の名はがんだい。
しがない生物学者をしている。
今日も気になるモンスターの生態を観察する為、助手のハガー君と共に調査に乗り出していた。
ハガー「先生、何か気になるモンスターはおりましたか?」
がんだい「うむ、見つけたよ」
ハガー「何か見えますか・・」
がんだい「シッ・・来たぞ」
ハガー「あれは・・」
がんだい「ホイミスライムだ」
どうやらこの住宅街に出没するという私の仮説は正しかったようだ。
がんだい「仮にあのホイミスライムを私は・・チュンリーと名付けた」
ハガー「ということは女性ですか?」
がんだい「いや・・たぶんリアルのプレイヤーが、格闘ゲーム縛りで仲間モンスターの名前を付けていて、付けたのはいいもののキャラの性格をどう表現すればいいか解らず迷走しているようなネーミングだな」
ハガー「リアルとは?」
がんだい「そこはツッコむべき所ではない」
ハガー「スイマセンでした」
そんな会話を助手のハガーと交わしている間も、チュンリーは辺りをフワフワと漂っていた。
ハガー「先生、彼・・いや彼女はいったい何をしているのでしょうか?」
がんだい「マーキングだよ」
ハガー「マーキング?」
がんだい「そう、ここら辺一帯は私のモノよ・・という自負を持って動き回っているのだろう」
ハガー「なるほど」
がんだい「決してリアルのプレイヤーが育てるのが大変そうだと、放置してマイホームの周りを散歩させているという事ではないのだ」
ハガー「先生、そのリアルとは本当に何の話なのでしょう?」
がんだい「・・君が触れる事ではない」
ハガー「・・はい」
がんだい「む!また動いたぞ!」
またも我々の会話を余所に、彼女はフワフワ動き続けていた。
ハガー「先生・・彼女は特に意味もないように動いてるとしか私には見えないのですが・・」
がんだい「意味もない・・か。しかしハガー君、彼女たちはそのように見えて実はその行動には我々の計り知れない意味を持っているのだ」
ハガー「はあ・・」
がんだい「決してリアルのプレイヤーみたいに、休みの日になると意味もなくただポケーッと怠惰な生活を送っている訳ではないのだ」
ハガー「だからそのリアル・・いえ、何も言いません」
がんだい「それでよい」
私は改めて、とある仲間モンスター・チュンリーの観察に戻った。
ハガー「それで先生、この話のオチはどうなるのでしょう?」
がんだい「・・それが問題だ」
ハガー「考えてなかったのですか?」
がんだい「リアルのプレイヤーが、昔見た動物番組のネタをこの密談シリーズでやってみたら楽しいだろうという考えでねじ込んではみたものの、結局は大した内容は考えていなかったというオチだな」
ハガー「・・先生、そういえば何故私が助手役なのですか?」
がんだい「適当に配役したらしい」
ハガー「そうですか・・」
こうして我々の、モンスターの生態調査という名目の暇つぶしは続いてゆくのだった。