「夜の神殿に眠れ」の続編をマイタウン三軒を連ねてハウジングすることで表現しています。
その補完で始めたはずの創作ストーリー。
更新は6回目です。今日は2本目です。
興味のある方は前の日誌もご覧ください。
創作とは言え、ネタバレを含みます。ご注意下さい。
エピソード2 「新たな希望」
第二話 「紅き小鬼との遭遇」②
開幕です。
荒野を抜けると遺跡があった。
そして、その遺跡から出ると砂漠が広がっていた。
幸い、眼下には天幕が見える。
(バザーかい?
人も居るだろうからまずは情報収集だね。)
バザーには様々な商品が並んでおり、店主たちが声を張り上げ、客を勧誘している。
だが、その店主たちを見て、確信する。
ここはアストルティアではないのだと。
頭には角が生えており、肌の色は紫だったのだ。
(やはりここは伝承通りの異界。
…魔界なんだね。)
そんなことを考えながら歩いていると、何やら前方から言い争う声が聞こえてきた。
近づいてみると、人間で言うと16歳前後くらいの赤髪の少年が店主と言い争っていた。
???「こいつはかなり質のいい宝石だ。ゼクレスで売れば小さいものでも一個100万は堅い。
それがこのサイズなら500もいく!
どうだいこいつを7割の値段で卸そうじゃないか!」
店主「ふん!だから何度も言ってるだろ!
他を当たれ!」
???「そんなこと言ってたら旨い儲け話も棒に振ることになるぞ!
商人なら先を読む力も必要だろ?」
店主「小僧が商人のなんたるかを語るなんて100年早いんだよ!」
???「だが!………」
(鬱陶しいね。どこの世界もガキってのは。
………でも、あの瞳。)
自信に溢れた太陽のような眼差し。
似ても似つかない見た目だが、どこか彼を思い出す。
「ギャーギャー煩いね。周りの迷惑ってもんも考えな!」
そのまま素通りすることもできたが、マリーンは二人の会話に割り込んでいった。
???「な!?コレは商談なんだ!
関係ないオバさんは黙っててくれ!!!」
「オバさん???」
そう言うとマリーンは赤髪の少年の頭を力いっぱい掴む。
???「いででででででで!
なにすんだ!オバさ…」
一層力が加わる。
「レディに対して、オバさんは失礼だろ?
男としてなっちゃいないね!」
???「レディ!?!?!?」
無理があるだろと疑惑の目を向けてしまったのが彼の運のツキ。
「なんか文句あんのかい!?」
更に頭を締め付ける力が強くなる。
???「ぐっぁぁぁ………ないです。」
「素直な子は嫌いじゃないよ。」
機嫌を直し、手を離す。
店主「話が終わったなら帰っておくれ。商売の邪魔だよ。」
二人のやりとりが落ち着いたのを見て、店主が声をかける。
???「いや、待て!変な横やりが入ったが俺の話は…
痛っ!!!なにすん…ぐが!」
マリーンは赤髪の少年の頭をどついて話を遮り、そのまま顔面を鷲掴みにする事で喋らせないようにする。赤髪の少年も脱出しようと暴れるがマリーンの手から逃れることはできないでいた。
「店主。ちょっといいかい?」
店主「…なんだい?
あんたも商人とか言わないよな?」
マリーンに怯えながらも店主は返答する。
「いや、あたしは旅人さ。
この店は何がオススメなんだい?」
店主「ここは道具屋だ。旅に必要なもんは大概揃ってるよ。」
「そぉかい。そしたら、50万G分の食料と水。傷薬の類を貰うよ。」
店主「50万!?」
「ただ半分は宝石で払いたい」
???・店主「!?」
「レディをおばさん呼ばわりした謝罪料にこいつを貰ったから、こいつで払うよ。」
マリーンはいつのまにか赤髪の少年が持っていた小さい宝石を手にしていた。
???「いつのまに盗みやがった!?返せ!」
赤髪の少年はマリーンの手から脱出すると今度はマリーンから宝石を奪い返すために飛びかかった。
しかし、マリーンはそれを軽くいなすと、首に腕を回して、脇に赤髪の少年を抱え込む。
「いいから黙って聞いてな。悪いようにはしないよ。」と悪い笑みを浮かべながら小声で話しかける。
???「本当だろうな!?」
思ったより長くなってしまった。
予定外ですが③へ続きます。