夜の神殿に眠れをテーマにした6軒の家で織りなす
全6話の物語。
「二人が求めた世界」
語り部として、物語を語りながら案内するツアーを
個人、団体様向けに開催しています。
その語りのもとになっている物語。
この日誌は
・夜の神殿に眠れ
・メインストーリーver.5までの物語
上記二つのネタバレを含みます。
またそれをもとにした二次創作作品です。
注意してご覧ください。
ネタバレと二次創作ですよ?
本当に注意してくださいね?
間話① ちょっと本編から脱線
???
「『貸し』を返すね。」
時は戻り、現代。
賢者マリーンが創り出した呪文
『リィン カーネーション』が
完成する間際のある夜
マリーン
「マホッシー。あんたとの付き合いも長くなったもんだね…」
肉体を共有する二人。
しかし、心が融合することは結局なかった。
マホッシー
「ホントだね~
あの神殿に いた頃は こんな時間を
過ごせると 思ってなかったな~」
能天気な喋り方をするマホッシー。
何を考えているのかいまいち掴みにくい。
マリーン
「…すまないね。」
しばらくの沈黙の後、マリーンはポツリと呟く。
マホッシー
「なんで マリーンが 謝るのぉ?」
マリーン
「だって、あたしは自分のわがままで…」
いつもの自信に満ちた喋り方ではなく、どこか歯切れの悪い喋り方をするマリーン。
マホッシー
「…ねぇ。マリーン。
『神』が 死ぬ時って いつだと思う~?」
マリーン
「…なんだい?急に。
神と同等の力を持ったものに倒された時かい?」
マホッシー
「それもそうだけど、もっと簡単に
『消える』の~」
マリーン
「『消える』?『消す』んじゃなくて?
『自壊』するのかい?」
マホッシー
「んとね~ 答えは~
信仰されなくなった時。
存在意義が 無くなるから
力も弱まって 消滅していくの~
それは 魔神も一緒。」
マリーン
「!!!
なら、なんで自ら信仰を捧げていた夜の民を
滅ぼしたんだい!?」
マホッシー
「おいらは 夜の民のこと 本当
大切にしてたんだよ~
弱くて 儚くて でも 短い『生』を一生懸命
生きる 『人』
だから 願いを 叶えて あげてたの~
でもね…
『人』の 『欲望』は 際限なくてね~
段々 嫌気が指してきたの~
その上裏切られて…
大切にしてた分 許せなかったんだ~
終わりなき 永遠の 『生』を
これからも この醜き 『人』と
歩まないと いけない
それは 終わりなき 永遠の 絶望
耐え難い 苦痛に 感じたんだ~」
マリーン
「それで滅ぼし、自らも消えようと?」
マホッシー
「あのまま 何もしなければ
そのうち 消えてたと 思うよー
でも 太陽の民に 封印されてー
力が 霧散しなかったのー
その上 怨みは 濃縮され続けたからね~」
マリーン
「それなら、封印が解かれた時点で
マホッ…魔神ジャイラジャイラは滅ぶ運命だったのかい?」
マホッシー
「そうだねー」
マリーン
「………」
マホッシー
「話が 逸れちゃったけど~
もともと おいらは 消える 運命に あったの~
だから~ マリーンが
気にすることないんだよ~?」
マリーン
「それでもだよ!!!
あたしにとっちゃ、あんたも大事な存在なんだよ!
簡単に割り切れるモンじゃないよ…」
マホッシー
「『大事』…
ふふふっ
なんか 不思議な感じ~♪
心が ホワホワする~~~♪
コレ なんだろう~?」
マリーン
「バカだね。『嬉しい』ってことだよ。
あたしの言葉を嬉しく感じる
魔神なんているもんかい…
あんたは、『魔神ジャイラジャイラ』じゃなくて、
あたしの相棒の魔法の帽子…
マホッシーなんだよ。」
マホッシー
「そっか。
おいらはもう魔神じゃないのか~
もう 願いを 叶えなくて いいのか~
もう 代償を 求めなくて いいのか~
それはイイなぁ~♪
ふふふ
ねぇ。『リィン』
おいらはもう 大丈夫だよ~」
マリーン
「!?
一人でスッキリしてるんじゃないよ!」
強く握りしめた拳が小刻みに揺れる。
マホッシー
「でも~」
マリーン
「わかったよ…
あんたが覚悟決めてんのに
あたしがグダグダ言うのは筋違いだね。」
それ以上マリーンが何か言うことはなかった。
to be continued