シンメトリーに広がる長い階段。特産の裁縫で賑わいをみせる港街。
そんな中心街から船に乗り、鳥のさえずりが響く湿地帯へと進む。
面接会場はそんな僻地にある一軒屋の庭先だった。
面接官は少し微笑み、ゆっくりと言葉を発した。
「なぜここに呼ばれたのか知っていますか?」
そう言われた面々からは返事は無い。
しかし、眉一つ動かさない悲愴な顔つきから、呼ばれた意味を理解しているようだった。
常に変化する市場において、その困難な状況を受け入れ、それに適応していかなければならない。
それは組織も個人、そしてモンスターも同じことだ。
限られたリソースを最大限活かし、新たな若返りを図らなければならない。
「あなたを活かせるポストがありません。」
「あなたのスキルを新しい世界で活かす機会ではないでしょうか。」
面接官は感情的な言葉を用いない。
雇い主の考えをはっきりと断言する。
そう切り出された面々は硬直し、怒るでもなく静かに話を聴いている
いや、聴くしか、受け入れるしかないと、覚悟をしていたのかもしれない。
帰路につく彼らの背中から、何とも言い知れぬ重い空気が漂っていた。
しかしこれは、希望を失うのではない。
新しい未来へのチャンスが得られたのだ。
そんな想いを抱き、面接官は彼らを見送った。
なげやりになってはいけない
さまよっていてもいけない
今をチャンスと捉えることでしか、道は拓かれないのだから。