「暑い…夜中でもこうも暑いのか…」
「そうか?俺は魔界生まれのスライムナイトだから暑いのは慣れっこだぜ」
「ミミミ…」じーっ…
「ははっ…こっぴー、それはタンポポの綿毛でお前の仲間じゃないぞ。ふぅ…俺はあっちでビールでも飲んでるからアーサーはこっぴーをちゃんと見とけよ」
「やれやれ、ガキじゃあるまいし…」
…
プシュ…
ごくごくごく…
ふぅ
「戻ったぞぉ…あれ?アイツらいねぇな」
「おっいたいた。こっぴー、もう充分遊んだろ?帰るぞ」
「ゲピ…ゲピ…?」
「まったく随分遊んだんだな身体中草やら種だらけじゃないか…アーサーの奴ちゃんと見てろっていったのにどこ行ったんだか」
「ファファファ…」
「ん…?そうだなあんなのは置いてさっさと帰ってアイスでも食うとすっか」
夏は夜でも暑く清々しさなんて微塵もなかったが、帰り道にはしゃぐこっぴーを見て少しは夏も悪くないなんて思っていた。ただ急に夏毛に生え変わるもんだろうか…?
夜、ベットで寝ているとこっぴーの寝息が聞こえてきた
「ファ〜ララ……ットォ…」
もしかするとこっぴーは今、成長の岐路に立っているのかもしれない。
モーモンが順当に成長し、醜いアーゴンデビルになったり又は突然変異種のマポレーナへと至ったり…
プクリポのような2頭身でプクプク言ってるふざけた生命体で完成していると考えるのは早計だったのかもしれない
眠っているこっぴーをひとしきり眺めたあと俺も眠りにつく事にした
その後悪夢を見た
こっぴーが魔物へと変異し苦しんでいる、そんな夢だ
「コ……ピピ……」
まどろむ意識の中でこっぴーの助けを求めるような声がした
朝、こっぴーはいなかった。
あれは悪夢じゃなかったんだ…本当の仲間は魂で繋がってんだ。アイツが苦しいんでいるなら俺はそこに行かなきゃならない
「こっぴー…俺たち、家族だろうが」
外に飛び出し、悲痛な声のするその先に俺は走り出した
「こ、こ、こっぴー…」
「ウホッウホッアオッ!!」
頭に生えたトライホーン、鋭い牙、申し訳程度の羽、筋肉隆々なその姿…こっぴーであろうはずもなかった
「いや…こんなのはこっぴーじゃない何かの間違いだ」
「ウホホッ……オーオッオッオッ!!」ドコドコドコ!!
その魔物は胸を激しく叩き出した。胸が苦しいのか…?
いや俺と共に過ごしたこっぴーとしての心が魔物の本能に抗っているんだ!
「負けるなこっぴー!思い出せ!!」
「ウホッウホッ…」
ー クーネスありがとう…最後は貴方の手で… ー
「!?」
消えゆく意識の中でこっぴーが最後に俺に託した言葉だった。魔物として生きるより俺の知ってるこっぴーとして最後を迎えたいという願いだった
「駄目だ…いかないでくれ」
俺は必死に考えた。サブキャラの魚子のエロドレアを考える時以来の集中力だった
かつて人間が魔物になる事も珍しくはなかった。それはマ素と呼ばれる魔物達の成分が起因しているという
おそらくこっぴーもなんらかの形でマ素が作用してしまったのだろう
ならば俺の黄金の戦士の力をすべて解き放って辺り一面諸共吹き飛ばしてしまえば…運が良ければこっぴーは元に戻れるかもしれない
「はぁぁぁぁ!!」ビシュゥゥゥ!
「こっぴー…たとえ上手くいかなくともお前1人寂しい思いはさせんぞ」
……
/ ドカァァァン!!!! \
「クーネスの奴あれからビール飲み行ったきりどこ行ったんだ…なぁこっぴー」
「コピピ…?」
ちなみに無許可で使ってる