レシアの冒険日誌

「違う」

「違うんだ」


「これも違う」























「竜おまが出ない…………」


不規則に散らばる宝箱をしらみつぶしに
開けながらトナカイに身をやつした、要するに
コスプレをしているれっしーはつぶやいた























サーラさんはそれを見つめていた

サーラさんは知っていた

あの宝箱は全てトナカイれっしーに釣られてやってきた
クリスマス気分に当てられたはいいものの
クリスマスを楽しめない寂しい魔物たちが
この世への置き土産に残したプレゼント
それをこじ開けたら現れるミミックっぽいギフトボックスが
落とした箱であり
ぶっちゃけレアのオモチャより通常ドロップのこびんの方が
まだありがたいし、だから要するに結局は
つまりそいつが竜おまを落とすことはないし
そもそも竜おま探してるなら
なんでキノコ山にいかないんだ
わけわかんねえよデュフフ。ということを

サーラさんは知らなかった
レンダーシアに生息するアックスドラゴンも
竜おまを落とすことを
そしてこの情報を載せてレシアの中の人がそこはかとない
いいことした感に包まれていたことも


















ドスッ

レイシーはリアル刺身と化していた

今日も今日とてコロシアムにこもり
負けたり勝ったり負けたりタイガークローの餌食に
なったりしながら
目に入ったエルフっ子に声をかけ
気づけばご覧の有り様

レイシーは思い出していた

それはさながら走馬灯のごとく
走馬灯チックで走馬灯らしくて走馬灯っぽさがにじんでて
もはや走馬灯以外の何者でもないのだけど
そしてこれ書いてるレイシーの中の人は軽く
走馬灯をゲシュタルト崩壊してるかもしれないけど
とにかく思い出していた

生まれたときのこと











覚えてないということを思い出した




初めての誕生日











覚えてないということを思い出した







初めてこの世に現れた瞬間











覚えてないということを（ry


ていうかよく考えたらこれ全部同じだということにも
思い至った



稚魚園への入園











…稚魚園なんてなかった







レーンの村でのありふれた日々



ありふれすぎて思い出せなかった







そしてヒューザの剣がモロに入った時



痛かった
あの時死んじゃったけど今となってはあれも
いい思い出です



しかしろくな記憶がないな
って、あれ？オレこれ一度死んでね？
え、じゃあ今のオレは一体
そもそもモロヒューザ事件からオレは一体何をしていた
いや、ていうかいつからオレは生きていると錯覚していた？






レイシーには思い出せなかった





















こうして今日も世界は廻る
カオスは広がる
世界はつながって
れっしーは無駄なレア箱狩りを続けるし
サーラさんはそれを見つめてデュフフ。
レイシーは思い出したり思い出せなかったり
その他大勢の人はネタキャラ化したり不治のアフロ病に
侵されたり、けどそんなことされるのは
やっぱりその他少数の人なんじゃないかって思ったけど
でも。それでも。

































ボスえもんはいつでもそばにいる