妖刀とはその恐ろしいほどの切れ味に魅力され
人斬りになってしまうほどの妖しさを持つ刀とか
王を祟る刀とか様々な伝説を持つ刀を妖刀と言われる。
それを呪いの武器の1種と想定して店に戻り準備を
して現在、林道地区の大木の影に潜んでいた。
スキットルに入れた酒を一口飲み終えたクマヤンは
「黄昏までまだ時間があるし確認しておくか」
「破呪の巻物、沢山持ってきたね」
ある街で知り合った呪いを解く魔法を研究している
老人に頼み一度だけその魔法が発動する巻物を作って
貰った物だが…。
「ただ研究途中で解けない呪いもあるからこれが
妖刀に通用するかは分らないけどな…」
「大丈夫なの?」
「まあ、本当に妖刀かも分らないし念には念をって
やつさ」
そう言いながら巻物を咄嗟に出せる様にベストや
ズボンのポケットに入れた。
「よし、そろそろ見回るか」
「行こうー」
「行くのか?」
心配そうにマユミを見る。
「もちろん、行くよ!」
ホバリングしながらバトルポーズをとる。
「相手は妖刀関係なく人斬りだ。何所から襲ってくる
かも分らないぞ」
自分達が大木の影に潜れた様に林道地区は身を潜め
られる所が多く気をつけても不意な事故もある。
「じゃあ、私が後ろを見張るよ」
そう言いとクマヤンのターバンに乗り後ろを向く。
「これで何所から襲って来ても大丈夫!」
自信たっぷりに言った。
「はぁ…仕方無いか…行くか」
「おー!」
マユミは元気よく腕を上げた。
林道地区を見回り始めてかなり時間が経ち日が完全に
落ちようとしていた。
「もう夜だよ現れないのかな?」
「いや、現れるさ…斬れずに居るだろうからな」
事件が起きてから夕方から出歩く人は居なくなった。
人を斬りたいと何処かで潜んでいると睨んでいる。
「それに暗闇の方が襲いや…」
言い切ようとしたとき強い風が吹き木々の葉を激しく
揺らし言葉を遮る。
「どうしたの?」
「嫌な気配がする…後ろは任せた」
見た目は夜の林道だが嫌な雰囲気が強風が木々を
揺らした時からひしひしと感じそれはマユミにも
伝わった。
「うん、任された」
一歩、一歩、緊張して進むと木々の揺れが強くなり
騒がしくなる。
「そうか!上だ!」