ここまでの間の戦闘で武器を拾いながら進むクマヤンの目にランスを構え
突進してくるしにがみきぞくを捉えた。
「来たか!」
標的の3人の1人がやって来る事にニヤリとする。手に持つグレートアックスを両手で掲げると勢いよく振り下ろし大地裂断を突進する方向に放った。
「くっ!」
大地裂断の攻撃に気付いたしにがみきぞくは、手綱を引き馬を急止させた
しにがみきぞくに影が出来た。
「おりゃ!」
鉄甲斬で飛び上がったクマヤンが襲いかかっていた。
「盾がっ!」
盾で攻撃は防いだが盾は壊れしにがみきぞくは盾を投げ捨てる。
「お前、不意打ちが得意みたいだな!」
ガイコツで表情は分かりにくいが語尾から怒りを表していた。
「夜襲してくる奴らに言われたくないな」
薄っすらと笑い応えた。裂け目から武器を落とした時に、武器モンスターも
落としていて、ひとくいサーベルやリビングハンマーが敵のモンスターを襲い、クマヤンとしにがみきぞくの間には邪魔が入らず決闘の形になっていた。
「ハッ!」
馬を走らせ一気に自分の間合いを取るとさみだれ突きを放った。
「そりゃ!」
真・オノむそうで迎え撃つがリーチのあるランスが優りクマヤンに無数の傷が
出来る。
「…知ってるか?ある本によると斧は槍に優位なんだぜ」
「何言ってるだ?そんなことあるか!」
突然の発言にしにがみきぞくがさみだれ突きの勢いが
弱まる。そのスキを見て回転途中でグレートアックスを放ししにがみきぞくに
ぶつけた。
「なんだと!」
グレートアックスはランスにぶつかりその衝撃で声を揚げてランスを落とした。
「その本によるとレイピアは騎馬特効なんだぜ」
グレートアックスに気を取られている間に背後に回ったクマヤンは拾い上げた、まけんしのレイピアで会心のギガブレイクを放った。
「何のことを言って……」
馬ごと吹き飛ばされたしにがみきぞくは言い切る前にさまようよろい達に
囲まれ消えた。
「やぱっり強かったな…Lv35はあったな」
そいうとハツラツ豆を飲み込み丘の上を見た。男は集まったガーゴイルに
何やら指示をしていた。
「あいつを倒さないと終わらないか!」
丘の上を目指して駆け上がる。配下のモンスター達の混乱を鎮める指示を
与えていると予想できる。モンスター達が冷静を取り戻し屋敷への攻撃を
再開されたら全てが台無しになる。
「やはり来ましたか」
こちらに駆け上がってくる男を見て男爵は呟いた。しにがみきぞくだけでは
難しいとの予測通りになりダークサイズを取り戦闘体制に入る。
(モンスターへの指示は出しましたがこのままでは失敗に終わる)
考えながらドルクマを唱えクマヤンに牽制しながら叫ぶ。
「あの男を倒して終わりにしましょう!」