自慢のてっきゅうは壊れ体もボロボロのてっきゅうまじんは男爵が消える所
まで全て見ていた。
「まさか、あいつがやられるとは…」
うごくせきぞうを1体は倒したが激しい戦いでかなりの怪我を負い2体目の
うごくせきぞうが来る前に戻ってきていた。
「しにがみ卿もやられたようだし終わりだな…」
そう言うと壊れたてっきゅうを、捨ててクマヤン達に見つからない様に
ひっそりとランガーオ山地の奥深くへ消えた。3人が居なくなった事に
気付いたモンスター達も屋敷の周りから逃げ出した。
「終わったぁぁぁ!」
叫びながらクマヤンは大の字でその場で倒れた。
「大丈夫?」
上を見るとマユミが飛んで駆けつけて来ていた。
「ああ、しかし1人で戦うのは無謀だったな…」
策を講じたが屋敷を襲われ怒りにまかせて打って出たことを反省した。
「あいつは何処に飛ばしたの?」
不安な表情で聞いてきた。
「斬る事に集中していたから分からないな」
疲れ切ったクマヤンは空をぼっーと見ながら呟くように言う。
「もしかしたら近くに居るかも知れないじゃない!」
慌てるマユミに。
「あれだけの大怪我をさせたんだ…流石の魔族でもすぐには動けないさ」
致命傷をおったんだから助からないと思っていた。
「それより…」
上半身だけ起き上がり周りを見渡しながら。
「この武器の片付けと修理が大変だな…」
屋敷の周りには無数の武器が散らばり、怒りに駆られたとは言え商人としても
コレクターとしても猛省しか無かった。
そして、現在。
「斬無刀に使ったミスリルは初代が砂漠の島にあった鉱山で手に入れた物だ」
冒険の旅の途中で流れ着いた砂漠の島の鉱山で金銀を発掘してそれを元手に
屋敷を買い武器屋を始めたが。その鉱山でミスリルも手に入れたが売却など
せずに保管していたと伝わっている。
「へー」
ミスリルの出どころをマユミから聞いてきた割には気のない返事をして。
「そう言えば斬無刀はどうなったの?」
現在の斬無刀の所在に興味が移っていた。
「初代が作った物だから家宝として手入れをしながら保管してあるよ」
グラスを拭きながら答える。
「使わないの?」
「うーん、使いこなせる気がしないんだよな…」
かいりを助ける時に始めて次元斬を使ったがまだまだと痛感し畏れ多く
使えずにいた。
「そうだ!この間、先代がマユミに向けたらしい物が見つかったんだ」
誤魔化す様に1冊の本を出した。
「えっ!なになに?」
マユミの顔がパッと輝き本に近づく。
「どうやら、専用武器に関する事みたいだ…」
新しい冒険が始まろうとしていた。